円満


あれから僕と彼女は別れ、組織を壊滅させることに成功し、今も尚逃げている残党を捕まえるべく各国が協力し僕の日本で会議が開かれている。もう四年目になるが、なかなか捕まらないのはやはり組織の人間だっただけあると感じさせられる。この会議はキールことCIA諜報員本堂瑛海、ライことFBI捜査官赤井秀一、江戸川コナンだった工藤新一もいた。右側の下から二段目、左から四番目にはシャトーと名乗っていた名字名前がいるハズだった。

組織壊滅後彼女はすぐに姿を消し、僕の前に現れることはなかった。長期休暇をもぎ取り姿を消してしまったのだ。どうにか情報を集めようとしたが全く何も掴めなかった 。彼女と仲のいい友人である相澤唯華にも話を聞いたが首を横に振るだけだった。
姿を晦ます?得意よ、と笑った彼女が目に浮かぶ。あの時こうしてればよかった、ああすればよかったなんていう後悔は沢山してきたが、失った時の喪失感に慣れることはできなかった。
結局僕はあの時連れ込んだ高校の同級生とは長く続かず、すぐに別れて一人ぼっちだ。

会議が終わった後珈琲を買おうとロビーに向かう。ここに似つかわしくない小さな子供、多分二、三歳ぐらいの男の子があちこち歩き回っていた。
Mum、と小さく呟きながら歩いているのを見ると迷子であることは一目瞭然だ。

「君、迷子?」

「うん。おにいちゃ、Mum…」

「泣かないで泣かないで、僕も一緒に探してあげるから!」

「ほんと?」

「本当だよ!僕は零、君は?」

「ぼくはれいじ!さんさいなの!」

小さな手で三を作り、前に突き出してふんわり笑う。ふくふくの頬が少し赤く染まりその姿が愛らしく、つい頬をつつきたくなる。
れいじをだっこしてあっちへこっちへ行ったのだが一向に母親は見つからない。眠くなってしまったれいじが僕の肩にもたれかかって寝てしまった。起こさないよう近くのソファーに座り、れいじをじっと見つめる。
黒色の髪に色白の肌、目は青く、くりくりしていてタレ目。どことなく誰かに似ているような気がする。
帰りが遅いと風見から連絡が来て、もう暫くかかるから先に進めておいてくれと頼み電話を切り、視線をれいじに向けた。小さな寝息をたててまだ寝ている。


  
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