ブォン・ナターレ。ほら、今日呼びだされた理由……もちろん分かってるよね?
は? 分かるわけない? こんな日にこんな格好で来いって言われて、鈍感にもほどがあるよ。
ねぇベディ。本当に今日の相棒はこんな調子で大丈夫なの? ……え? 心配いらないって?
ベディがそう言うなら信じるよ。ほら、あんたも、ベディにここまで言わせたんだからしっかり働いてよ。
ナターレの夜に赤い服……、今年のレガーロのサンタクロースは俺たちってこと。
え? 理由なんて知らないよ。ベディがそう言うんだから、そうなんだ。
いいから早く支度をして。早く出発しないとみんなの家を回りきれないだろ。
みんな、今日という日をすごく楽しみにしてるんだ。それは俺たちへの期待ってことでもあるのさ。
理解したなら行動してよ。ベディも待ちくたびれてる。ナターレってそういうものさ。ほら、行くよ。
って、意気揚々と出てきたけど……参ったな。最初からこんな調子とは。
へぇ、あんたはこんな俺を見て笑っているんだね。俺は笑われるつもりはないんだけど?
あぁ、ベディ、ごめんね。俺は大丈夫だよ。大丈夫だけど、この状況はまずいよね。
ただでさえ時間がないって言ってんのに……ほら、あんたもいつまでも笑ってないで、手を貸してよ。
はー……まったくとんだナターレだよ。ベディと2人だったらこんなことには……いや、どうかな……?
まぁ結果を悔いても仕方ないね。ほら、感謝の言葉ならあとで幾らでも返すから。手を貸してってば。
なんとか夜が明ける前に配り終えられた。……悔しいけど、あんたのおかげ、ってことにしてあげる。
色々ありがとう、付き合ってくれて。今日だけじゃなくて……いつも、それなりにちゃんと感謝してる。
……まだナターレの夜は明けない。だから、俺はまだサンタだ。最後に、あんたの欲しいものをあげるよ。
さぁ何が欲しい? 島中の猫と友達になれるように? ベディと言葉で会話をしてみたい? それとも――
俺がいつまでもあんたの隣にいてやるっていう約束? ねぇ、あんたはどれが欲しい?
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