「棚の奥に眠るテゾーロ」



おお、こんなところにいたのか。探したぞ。

む? なぜ俺がお前を探していたのか分かっていない顔をしているな。メイドたちから聞いていないのか?

今日はお前が、幹部長室の掃除の手伝いをしてくれる約束の日、だろう?

まぁそれにあわせて俺も掃除を開始してしまったからな。もう後には引けんぞ。ハッハッハ。

ん? 俺の持っている椅子を運ぶのを手伝う? しかし、これはなかなか重いぞ。

こういうのは、俺の仕事だ。お前には、お前にしかできない仕事で頑張ってもらうよ。



おい、やめろ! 椅子の二段重ねの上に立つのは危ない! そんな曲芸師のようなことがお前に出来るわけないだろう。

リベルタ! お前もちゃんとあいつを止めろ! そもそもお前がちゃんと棚の上を掃除しないからこんなことに……。

うおっ!? なんか頭に降って来たぞ!? こらお前たち、物を落とすな! 掃除は丁寧にやれ!!

お前もいい加減降りて来い。怪我をしてからでは遅いんだ。あまり俺に心配させるな。

ようやく聞き分けたか。よし、ここは俺とリベルタに任せろ。お前は棚から下ろしたものの整理を頼むぞ。



あぁ、今日は助かった。随分無茶もしてくれたが、おかげでこんなに綺麗になった。

俺とリベルタだけではここまで綺麗な掃除はできなかったかもしれん。ありがとう。

それでだな、これをお前に贈りたいんだが……受け取ってもらえるか?

掃除をしていたら出てきたんだ。随分奥の方に潜り込んでいたらしい。

俺はこういうものを飾っておくというガラでもない。それに、お前によく似合うと思ってな。

綺麗だろう? 海を閉じ込めたオパールと呼ばれる石だ。見てみろ。石の中に、本当に海があるみたいだろう?

若いときだったか、遠出の航海をしたときに立ち寄った島で買ったんだと思うが……今頃出てきだようだ。

遠慮するな。お前がいなければ、いつまでも棚の奥で眠り続けていた代物だ。

俺が持っているより、お前が持つ方がその石も喜ぶだろう。俺だと思って大事にしてくれよ?








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