どうしたんだ、そんなに慌てて? 何か探しものか?
なんだ、まだ猫探ししてたんだ。とっくに見つかってるだろうと思ってたけど。
ほら、あんたたちの探しものならそこにいるよ。優雅に塀の上、歩いてるだろ?
俺とベディが散歩してたら猫たちが後からついてきてさ、それでこんな状態。まぁ、楽しいけどね。
俺は昔から猫には好かれるんだよ。特に黒猫にね。……俺が猫っぽいから? ふーん……、一応褒め言葉で受け取っておくよ。
で、自分が無駄なことしてたってことやっと気づいた? さっき会った時に言っただろ? 俺といれば探す必要ないって。
俺たちと行動してれば猫なんて勝手に寄ってくるんだから、探す必要なんてないだろ?
まったく、俺の言葉を素直に聞かないからだ。だから無駄足になるんだよ。なぁ、ベディ?
ふふっ、そうむくれるなよ。まぁ、よかったじゃない? 他のヤツよりは先に見つけられたんだから。
この迷子猫、飼い主のところに連れて行くんだろ? 俺、いや俺たちも付き合うよ。
これくらいいいよ。どうせ散歩の途中だったし。ほら、行くよ。
飼い主、喜んでたな。……なのに、なんであんたはそんな態度なわけ?
まださっきのことでむくれてんの? 思ってたより子どもなんだな、あんた。
そんなヤツには……ベディの猫パンチだ! はは、良い反応!
ねぇ、いい加減に機嫌直してよ。でないとせっかく2人きりなのにつまらないだろ?
ああ、ごめんごめん。ベディも一緒だったね。俺たちが、つまらないだろ?
それにさ、こんな良い天気なのに、何1人で雨降らせてんの? 俺もベディもそういうの嫌いなんだけど。
そうそう。あんたはそうやって能天気に笑ってた方がらしいよ。
ベディはあんたのそういうところが気に入ってるみたいだし。
それに俺も……、俺もあんたのそういうところ結構好きだけど?
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