「手のかかる子ほど可愛い」



迷子猫の保護任務も慣れてくると楽しいものだね。君は楽しくないかな? フフッ、なんだかそんな顔をしていたから。

え? 猫を捕まえられなくて悔しいと思わないのか、ですか?

そうだね……それはもちろん悔しい。やっと見つけたと思ったら、サッと逃げられてしまうからね。

だけどそれもまた楽しみのひとつだ。この保護任務を彩るハプニングだと思えばいい。

うまくいかないことも含めて、楽しみだと僕は思うよ。それは教師の仕事もこの任務も一緒だ。

僕が生徒に言葉を投げかけても、スルッとかわされたり、逆に反感を買ってしまったりする。

でもね、そういうことも含めて……、僕は教師の仕事が好きなんだ。

それに僕は、僕を振り回すくらいの積極的な生徒が好きだからね。フフッ、誰のことかわかるかな?

さぁ、猫さんこっちへおいで。大丈夫だよ。怖がらなくていい。



――フフッ、くすぐったい。肩に登ってもいいですが落ちないようにね?

まさかこんなに隠れてるとは……ここの猫たちは恥ずかしがり屋さんが多いのかな?

順番に連れていこうと思っていたけど、こうなったら全員まとめてでないと難しいね。

そんなにギュッとしがみつかなくても、振り落とすなんてしません。安心してください。

この子たちは迷子猫だから、またひとりになることを恐れているのかもしれないな……。

……ああ、ごめんね。もしかして、僕の言葉に考え込んでしまったかな?

大丈夫ですよ。この猫たちはもうひとりにはならない。こうして僕たちが見つけてあげられたんだから。

……ん? フフッ、どうやら僕たちの話はこの子たちには退屈だったみたいだ。

そろそろ行きましょう。ですがその前に……すみませんが両手を出してください。ええ、それで構いません。

はい、その子たちは君にお願いしますね。ひとりで運びきるのは難しそうなので。

猫と君か……フフッ、やっぱり似てるね。いや、こちらの話だよ。








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