スフィラータ



たまのお休みの日……。スミレに連れられて、フェデリカの経営する洋品店、フェデリカドレスへ……。

スミレ「もうすぐ夏も終わり……。新しい季節には新しいおしゃれよね。」


フェデリカ「いらっしゃいませ。……あら、こんにちは。お久しぶりじゃない。元気だったかしら?」
スミレ「ふふ、ほんとご無沙汰。今日は大勢で押しかけてしまって……、ごめんなさいね。」
スミレ「たまのお休みなの。今日は新しいおしゃれでもしようかしら、って思ってね。」
フェデリカ「あらまぁ、そういうことなら……、こちらのドレスなんていかがかしら?」

フェリチータ「私、これ……、試着してもいいかな。」
フェリチータ「ふふっ、なんだかすごいはしゃいじゃってるみたい……。少し、恥ずかしいな。」

スミレ「あら、あの子ったら……。それで、__は何か気になるものはないの?」
スミレ「私は……、そうね、この帽子なんて素敵だわ。」
スミレ「最近はファミリーのみんなもおしゃれになってきたでしょう? それなら、私も少しは楽しみたいじゃない?」
スミレ「それに、秋は季節のイベントや大きなパーティが多いでしょう?」
フェデリカ「あら、そういうこと……。それなら、私にいい案があるわ。少し耳を貸してくださらない?」

スミレ「あら、おもしろそうじゃない。それ……、やってみましょうよ。」
スミレ「じゃあ、帰ってから……、皆に相談してみましょう。」



スミレに呼び出されたルカ……。何かを企画を練っているようだが……。

スミレ「ああ、ちょうどいいところに来てくれたわ。少しお願いがあるの。」


ルカ「え、スフィラータ……、ファッションショーですか? いえ、マンマのご提案ですから私は何も申しませんが……。」
スミレ「あら、ルカは反対なの? __も、うちの子も、とってもやる気よ?」
ルカ「いえいえ、私の方こそとってもとってもやる気です。どんと任せてください。」
フェリチータ「ありがとう、ルカ。……良かった、反対されたらどうしようかと思った。」
スミレ「じゃあ、お手伝いお願いね、ルカ。いろいろとやることも多いから、よろしく頼むわ。」

ルカ「では、お嬢様……、偶然にもここに私が仕立てたドレスがありまして……。」
ルカ「これをお召しになって、是非ともショーへ出ていただければと……。」

イザベラ「はーい、どいてくださーい。ここ、通りまーす!」
ルカ「わぁっ、いったい何ですか!? 私は、お嬢様にこのドレスを……。」
ドナテラ「ルカ、マンマの言われたことを聞いてなかったの? フェデリカさんの、新作ドレスのショーなんですよ。」
メリエラ「そういうことです。ルカの作ったお嬢様用のドレスは、またの機会にしてください。」
ルカ「ええっ、そうなんですか!? ……って、ちょっと、どうして私を部屋から……、追い出すんですか!?」

メリエラ「ルカ! ここは今から女性用の更衣室です! さぁ、他へ行ってください!」
メリエラ「お嬢様は、私たちと衣装あわせを行いますから、ご心配なく。」

ルカ「はぁ……、追い出されてしまいました。なぜか、__まで……。」
ルカ「仕方ありません。私もお嬢様の従者……。ここでお嬢様のお着替えを待つことにしましょう。」
ルカ「あぁ、なんだか室内から楽しそうな声がしますね……。どのような衣装に着替えられているのでしょうか。」
メリエラ「あ、まだいる。ほらほら、お着替えの邪魔になりますから、向こうに行っていてください。」
ルカ「いえいえ、私はお嬢様の従者です! ここでしっかりと待たせてもらいますよ。」

スミレ「あら、ルカ。どうしたの? そうだ、あなたにお願いがあるわ。」
スミレ「ほら、何でも協力してくれるって言ったでしょう? お願いね。」



スフィラータを無事に開催すべく、ファミリーたちに会ってまわることに。

ルカ「はぁ、全員参加とは言え……、皆から二つ返事が頂けるとは思いません……。」


パーチェ「どう? ルカちゃん、この服おれに似合うと思う? カッコいいかなぁ?」
ルカ「ああ、きっとお似合いだと思いますよパーチェ。少しだけ賢そうに見えるかもしれませんね。」
パーチェ「えへへ、ありがとう。……って、ふだんのおれは賢くなさそうってこと?」
パーチェ「でもさ、おれなんかがスフィラータに出ちゃっていいの? 迷惑じゃない?」
ルカ「迷惑どころか、マンマたってのご希望ですから。是非参加をお願いしますよ、パーチェ。」

ダンテ「そうは言っても、俺まで着飾らされるとはな……。」
ダンテ「なぁ、どうだ……? 似合っているか?」

ルカ「おや、ダンテも似合っているじゃありませんか。なかなかダンディですよ。」
ダンテ「いやいや、ドレス屋の見立てが良いだけだろう。ハハハッ、なんだか照れるな。」
パーチェ「へぇー、服が違うだけなのに、なんだか印象変わるね。いつものダンテじゃないみたい。」
ダンテ「こう、帽子をかぶるだけでもハッとするだろう。帽子だけに……、ダーンテな。」
パーチェ「ははは、服をカッコよく決めても……、中身はいつものダンテだね。」

ジョーリィ「それで……、私は参加するとは言っていないのだが。」
ジョーリィ「スミレに言っておけ、私は断ったはずだと。」

ルカ「何を言っているのですか、ジョーリィ。しかも、すでに着替えているじゃないですか。」
ジョーリィ「用意されたから着たまでだ。そもそも、私に着飾るような趣味は無い。」
ルカ「ダメですよ、ジョーリィ。マンマのご希望ですから、今回は参加してもらいます。」
ジョーリィ「くだらん……。茶番だと感じたら私はすぐに帰らせてもらう。」
ルカ「……はぁ、本当に面倒くさい人です。まぁ、これで一通りの準備は終わりましたね、__。」

パーチェ「じゃあ、会場に行こう! おれのカッコいいところを見てもらわないと。」
パーチェ「よーし、頑張るぞーっ! ほら、__も早く行こう!」



すでに開催時間が近い……。だいぶお客さんも集まっているようだ。

フェデリカ「あら、皆さん素敵じゃない。これは、中身がいいからかしら?」


ルカ「ああ、フェデリカさん、こんばんは。本日は素敵な衣装をお貸しいただき、ありがとうございます。」
フェデリカ「いえいえ、会場まで作っていただいて……、逆に私の方が感謝しているわ。」
フェデリカ「でも、ほんと……、ファミリーの皆さんはお祭り好きね。言い出したらあっという間。」
ダンテ「久しぶりじゃないか、フェデリカ。見たところ元気そうだな。商売も順調そうで何よりだ。」
フェデリカ「あら、ダンテさん。とってもお似合いじゃない。そんなにカッコよく着こなせる方は、なかなかいないわ。」

スミレ「ほらほら、おしゃべりはそのくらいにして……。お客様が待っているわ。」
スミレ「楽しいおしゃべりは、この後のパーティまでおあずけ。さぁ、行きましょう。」

ルカ「マンマ! また素晴らしいお召し物で……、よくお似合いです。」
スミレ「ルカ、今日はいろいろと手伝ってくれてありがとう。それに、__もよく頑張ってくれたわ。」
ルカ「いえいえ、私たちは裏方ですから。それよりも、ショーはこれからです。成功をお祈りしていますよ。」
スミレ「あら、そうなの? じゃあルカのドレスは要らないのね。__だけ着替えましょ?」
ルカ「ええっ!? わ、私も参加させてもらえるのですか!! す、少し待ってください!」

フェリチータ「私の服……、どうかな? 似合ってる?」
フェリチータ「こういう服……、あんまり自信が無くて……。」

ルカ「おっ、お嬢様!! とってもとってもお似合いです!」
ルカ「はぁ〜、お嬢様のこのようなお姿が見られるなんて……。私はずっと裏方で構いません!」
スミレ「まぁ、助かるわぁ。じゃあ、ルカ、会場の司会もよろしく頼むわね。もうすぐ始まるわ。」
ルカ「ええっ!? 会場の司会を務めていたら、お嬢様のお姿が見られないのでは……。」
スミレ「ほらほら、お客様を待たせているわ。さぁ、スフィラータの開催よ。」

パーチェ「よーし、じゃあ最初はおれから! 行ってくるよ!」
パーチェ「って、走ったらダメなんだよね。歩いて、歩いて!」



スフィラータは無事に終了した。今はアフターパーティが開催されている……。

スミレ「ショーはとても盛り上がったわ。ありがとう、あなたたちのおかげね。」


スミレ「ほんと、とっても盛り上がったわ。無理を言って開催した甲斐があったわね。」
スミレ「今日は結構、いろんな方がこられていたみたい。服飾デザインのお仕事の方々なんかも。」
ダンテ「ハッハッハ、先鋭的なレガーロの者たちにはいい刺激になったんじゃないか?」
ダンテ「これからファッションの仕事も競争が激しくなるかもしれんなぁ。」
スミレ「それはそれで構わないわ。むしろ歓迎すべきことね。」

アルバーノ「すみません、今回のショーを主催された方に、取材を申し込みたいのだが……。」
アルバーノ「ああ、申し遅れた。俺は新聞記者をやっている者でね。」

スミレ「あらあら、じゃあ私たちは向こうへ行っていましょう。ふふ、またおしゃべりは後ですればいいわ。」
ルカ「あ、マンマに、__! お嬢様をお見かけしませんでしたか!?」
ルカ「実は……、私の作ったドレスもお嬢様に着て頂きたくて、お探ししているのですが……。」
ルカ「お見かけしたら教えてくださいね。では失礼します。……お嬢様ぁ、どこですかぁ!」
スミレ「ふふっ、さぁ出てきてもいいわ、子猫ちゃん。テーブルの下に隠れるなんて、お転婆もいいところね。」

フェリチータ「もう……、マンマにはバレてたみたい……。」
フェリチータ「だって、ルカの作った服はいつだって着れるし……。」

フェリチータ「そうだ、さっきパーパも来てくれて……、服が似合ってるって褒めてくれたんだ。」
フェリチータ「パーパは、マンマのことも探していたみたい……。それと、ジョーリィも。」
スミレ「そうね、ジョーリィもきちんと参加してくれていたわ。ありがとうって言ってあげないと。」
スミレ「じゃあ、__、フェリチータと一緒に……、ジョーリィのところへお礼を言いにいってあげて?」
フェリチータ「うん、分かった。じゃあ、行こう、__。」

ジョーリィ「クックック……、お嬢様と、__か。どうした、こんなところまで。」
ジョーリィ「……私に礼を言いに? 別に礼を言われるようなことをした覚えはないがね。」

フェリチータ「でも、マンマが、ジョーリィも最後まで参加してくれてありがとう、って。」
ジョーリィ「私は自分の意思でここにいる。特に感謝を言われる筋合いはないな。」
ジョーリィ「それに、人が集まるところでは、それだけ研究のサンプルの収集が容易だろう?」
フェリチータ「うん、でも今日だけはありがとうって。……これ、お花。これはフェデリカさんから。」
フェリチータ「じゃあね、ジョーリィ。きちんと伝えたから……。私たち、もう行くね。」

ジョーリィ「待ちたまえ、お嬢様。それと、__。」
ジョーリィ「私は相談役だ……。相談事なら、いつだって構わないと、スミレに伝えておくといい。」

フェリチータ「じゃあ、もう少しアフターパーティを楽しもう、__。」










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