地球には侍という面白い生き物がいる。吉原で見つけた侍、坂田銀時。俺のお気に入りだ。もっと、もっともっと、侍のことを知りたい。けれど彼を殺すのはまだ惜しくて、だから似た者を探した。そんな時ちょうど噂を耳にしたのだ。真選組という幕府の特殊警察に、凄腕の侍がいると。
阿伏兎に黙ってすぐさま会いに行った。まずは小手調べと、攘夷浪士を適当に送り込んで。そして様子を見て、期待外れだったらすぐ殺すつもりだった。けれど華麗な剣の舞いは、一瞬で俺を魅了した。彼よりは強くない、が、充分に素質がある奴だと、真っ赤な瞳を見てそう思った。そうと決まれば後は簡単だ。傍にいた部下らしき人間を適当にあしらって、連れ帰るだけ。宇宙船に着いてすぐ、気を失った少年を鎖で繋ぎ、牢獄に閉じ込めた。


「…アンタ、何者でさァ」


自己紹介もせぬまま少年は憎悪に満ちた目でギロリとこちらを睨んだ。心地よい殺気だ。悪くはない。手足につけた枷を外し、ジャラリと音を鳴らす首輪だけが残る。しかしすぐに襲い掛かってくると思ったが、何に驚いたのか微動だにしない。


「………」
「どうかした?」
「っ、気味が悪ィ笑みだ」
「あはは、それはごめんね」


知らず知らずに殺気を醸し出していたのだろうか、表情に僅かな怯えが見える。だがそんなことはお構いなしに、パチンと指を鳴らした。同時に牢へ入ってくる浪士や天人達。奴等はみな真選組に恨みを持つ連中だ。命令をすればすぐにでも斬りかかって来るだろう。さて、と持ってきた刀を少年に手渡した。


「頑張って生き残ってね」


張り付いた笑みは変わらずに、ただ絶望的な言葉だけを囁いた。鎖の長さの分だけ歩き回れるが、動ける範囲は限られている。次々と襲ってくる敵を倒し、果たして生き残っていることが出来るのか。壁に寄りかかったまま、俺はたった一言、殺せと言い放った。

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