どうしようもなく体が怠くて、怠くてしょうがない。何故こんな日に招集命令が出るのか。何故こんな日に彼らに会わなくてはならないのか。奥の奥が熱くてどくどくと脈打って。隊員の話が遠くて、ただの雑音に聞こえる。何を話しているのか。沖田隊長と誰かが言った。俺がどうしたの。俺がどうかしたの。どうでもいいよ、早く熱を取って。熱い、こんなにも熱い、のに。


「おい総悟、話を聞いているのか?」
「…聞いてやす、はい…」


嘘だ。聞いていない。目の前にいる近藤さんも土方さんも気付いている。それなのに、あえて言わないのはただの気遣いなのか。もしかして、と一つの仮説が思い浮かぶ。しかしそれはあり得ないだろう。彼らには絶対にバレないようにと念を押している。同意の上でなのだ。


「もう一度言うぞ、最近夜に何処に出かけているんだ?」
「……夜、…旦那のところでさァ、旦那と飲みに出かけてて…」
「嘘じゃねぇだろうな?嘘だったら謹慎じゃ済まねぇぞ、吐くまで拷問だぞ、分かってるんだろうな?」


こくりと頷くと土方さんは吸っていた煙草を灰皿に押し付けて出て行った。恐らくは確認を取りに行ったのだろう。もうこちらは限界だというのに。いつまで時間を取らせるのだ。イライラが募っていくも、近藤さんの心配そうな瞳に何も言わず俯く。


「俺もトシも、お前が心配なんだ」
「…分かって…ますよ、そのくらい…」
「熱があるのに無理して話させるのも、万一にお前が危ねぇことに足を突っ込んでいないのか知るためだ」


近藤さんの真っ直ぐな目は心を貫いて血を流す。けれどその濁りのない瞳があるだけで、幾分か安堵出来た。既に汚れて穢された自分とは違う。光の道を歩んでいる。彼らだけはこちらに踏み込ませるわけにはいかない。危ないことに足を突っ込んでいるのは貴方だ。裏側に落ちてきてはいけない。俺のように。


「辛気臭い面しちゃって、嫌だねぇ総一郎くん」
「だ、旦那っ…!どうして此処に!?」


障子が開いたと思えばそこにいたのは土方さんではなく旦那がいて。今日は仕事の依頼があって万事屋にはいないと言っていたのに。


「ん、マヨ野郎からラブコール貰っちゃってね」
「誰がラブコールだぶっ殺すぞコラ」
「血の気が多いな冗談だろ」
「冗談に聞こえねぇんだよお前は」


ぎゃあぎゃあと騒ぎ出した二人を呆然と眺める自分に気付いたのか、近藤さんはいつもの豪快な笑みを浮かべて頭を撫でた。確認を取れて安心したというのか。温かい掌は昔から変わらない。何もかも変わらない。変わったのは沖田総悟だけ。その事実を知っているのは旦那だけ。真選組の誰も知ることはない。喜ぶべきことだ。なのに、全てを話したい衝動に駆られた。泣いてはいけない。縋ってはいけない。顔を歪めたことにも、涙を零したことも。俺は今、


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総悟が幕府の重鎮相手に枕営業していて、知っているのは銀さんだけという話。銀さんは大体の事情も理解しているから総悟を助けたいと思っている。近藤や土方はおかしいと思っているけど総悟がそういうことをしているとは微塵も思っていない。抱かれる時は薬を使われるので、途中で仕事が入ると大変。銀さんには何度か抱いてもらっている。モブ沖を書きたいけど書ききれなかった無念。

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