もしもし、もしもし、新一いるんでしょ。通話しているのに声が聞こえなかった。しょうがないから女史に電話を掛ける。また寝惚けているのかな、明日は休日だから一緒に遊びたいのに。もしもし、新一が電話に出ないんだけど。そう文句を言うと、機械みたいな声でしょうがないわよと返された。そりゃしょうがないか、新一はいつもそうだ。低血圧だし自分勝手だし。それは甘えだってこと、知っているけどね。だから嫌じゃないんだ。けれどこういう時は面倒。わざわざ家に行かなきゃ駄目かあ。溜め息を吐くと、女史は来なくても大丈夫よ、と震えた声で言った。どうしたのだろう。悲しいことがあったのかな。そういえば女史の泣き顔を見たことがない。いつも感情を表に出さないから。一度だけ、何処かで見た気がするけど忘れちゃった。もったいない。お宝映像だったのに、どうして記憶にないんだろう。不思議だ。


『暇だよ、新一の家に行っちゃ駄目?』
『貴方がもうちょっと正常に戻ったらね』


何だよ失礼だなあ、俺はいつでも正常だって。そりゃあテンション高いけどね。頭のネジを何処かに落としてきたらしいけどね。それでもこれが普通なんだから。ぶーぶーと口を尖らせて言うと、女史は―――って泣き出した。分からない。どうしたの。どうして―――、―――――なの。


「先生っ、黒羽さんがまた…!」
「鎮静剤を持ってくるんだ、早く!」

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