―――嫌な予感はいつも当たってしまう。 黒羽快斗は自身の勘の良さに、ここぞという時に当たる感覚に、溜め息を吐いた。以前から異変には気付いていた。言動や行動ではない、言い知れぬ何かがおかしくて。彼は母親の才能を受け継いでいるのだろう、本当に隠したい嘘はなかなか見抜けない。だから決定的な事実や証拠があるわけではないが、敵対していたから、友達であるから、分かることがある。関西の名探偵も勘付いていた。例の少女や博士も。恐らく彼の大事なあの子も。 「なあ名探偵、気付かないのか」 「…?何が?」 これは嘘を吐いていない。事態が進んでいることに本人の自覚はないようだ。きょとんとした顔はいつもと変わらぬ名探偵で。だからこそ恐怖する。いずれ飲み込まれるのではないかと。人間の悪意によって生み出された難解なパズルへの知的好奇心。それにどれほど自身を飲み込まれているのか本人は知らない。知る由がない。 - - - - - 推理を解くたびに人間らしくなくなっていく新一の話。 脳アニメを見ていたら思わず。 |