―――道具如きが。
―――器如きが。
両者はぶつかり合い火花を散らした。どちらも相手を利用し、己が利用されるのを拒む。これは自身の存在を懸けた一騎打ち。誰にも邪魔されない、誰にも助けられない、魂と魂の交差点。一つの体と一つの刀。一方を“どうぐ”として使うために。飲まれ飲み込み、飲み込み飲まれ。人間も刀も血を浴びすぎていた。人間は人間を、刀は刀を。同族を殺し続けていた。だから戦いは五分五分。勝ち負けはなかなか訪れない。相手が笑い、自分も笑う。楽しんでいるのは対戦相手が強いからではない。踏み潰し二度と立ち上がれぬようにしたい、という願望が叶ったことを想像しているからだ。駆けて、駆けて、そうして行き着いた先は、どちらもただの闇しかないと理解しながら。


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