「…銀ちゃん、どうするネ?」


前方を走り行く自分に神楽は尋ねた。


「どうするっつったって、俺にも分かんねぇよ」
「殺すアルか」


出てきた言葉に驚き振り向くと、それも覚悟だと瞳が訴えていた。何度もぶつかってきた相手だからこそ、なのだろう。思えば今まで彼女達は殺し合いに近いものを行っていた。野郎を殺すことになっても仕方ないと、幼いながらも少女は割り切っているようだ。二人は理解し辛い関係にある。自分にも、ましてや保護者達にも分からない、好敵手という存在。だから一つの答えだけは決まっていた。


「…殺しゃしねぇよ。何としてでも捕まえる」
「分かったヨ。あのサディストを殺すのも殺されるのも御免ネ」
「だよなあ」


言いながら町から離れた、人のいない広い空地に辿り着く。資材置き場だろう場所には木材や鉄骨が無造作に積まれていた。戦うにはちょうどいいだろう。足音に振り返ると、早くも追いついたらしい。返り血を気にもせず抜き身の刀を向ける彼の瞳は殺意に満ちていた。


「んじゃ、始めるか総一郎くん」


誰のことを言っているのだと怪訝な顔をする少年に、左手指をくいくいっと曲げて挑発する。


「白夜叉なんてご大層な名前があってもな、お前は今の俺より弱い」


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