「おーい、朝だぞー」
「…、?虎徹!?」
「うおっ」


朝っぱらからうるさいなと鬱陶しくも目を開けると、見知った人物が視界に入った。その瞬間、アントニオは昨夜の出来事を思い出し、一気に意識を浮上させる。そうして突然飛び起きた彼に、傍にいた虎徹はビクッと体を震わせた。


「お前大丈夫なのか!?」
「は、はあ?何がだよ?っつか、お前こそ大丈夫なのか?」


よくよく見れば寝汗を掻いていたようで、虎徹にタオルを手渡された。話したいことはあるものの、部屋にはスカイハイや折紙サイクロンもいる。昨日の不可思議な体験を話していいものだろうか。そもそも記憶が曖昧で、考えると現実かすら怪しい。つい先日、ドラゴンキッドが話した少女の霊の噂を覚えていて、夢として見ただけなのかもしれない。


「ったくよー、そろそろ朝飯なんだからさー」
「あ…、…ああ、悪ぃ」


虎徹はそのまま読書をしているスカイハイの元に行き、笑い合って雑談を始めた。何もおかしいところはない。そうは思うものの、胸に引っかかる違和感は何なのだろう。アントニオは言い知れぬ不安を覚えるも、理由が分からず、とりあえずネイサンにでも相談しようかと考えた。
もしも今、この場にバーナビーがいれば、彼が彼ではないと気付いただろう。不気味な笑みに誰も気付かぬまま、時間だけが過ぎていった。

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