「お父さーん、まだー?」 「ま、待って待って、靴下が履けなくて」 「早くしないと置いて行っちゃうんだからね!」 「ごめんなさい!お願いだから置いて行かないでぇ!」 バタバタと足音を響かせてお父さんは後を追いかけてきた。今日は久々に買い物に行くのだ。なのに私よりもお父さんの方が支度に時間がかかっていて。必死になって走ってくる姿に思わず笑ってしまった。なーに笑ってんだー?って髪をぐしゃぐしゃにされる。だって仕方ないじゃない。私は今、幸せなんだから。 「そういえば楓はバーナビーが好きなんだよな?」 液晶画面に映るのはHERO TVの特集番組だ。ちょうどKOHであるバーナビーの紹介をしている。お父さんはじっと画面を見つめて、ヒーローが大好きなのは友恵譲りか?と一人呟いていた。 「私が好きなのはワイルドタイガーだよ」 「あれ?そうだっけ?」 きょとんと首を傾げたお父さんに、そうだよって返す。ワイルドタイガーはもういないけど、私はヒーローの中で一番大好き。だってワイルドタイガーは私だけのヒーローだもん。 - - - - - マーベリックの能力をコピーして虎徹の記憶の中からヒーローのことを全て消した楓ちゃん |