「世界を憎んだことがあるかって?」


こりゃまた変なことを聞くなあ、と虎徹はボールペンをくるくると器用に指を使って回す。聞いた本人は視線を逸らさず表情の一つ一つを観察した。一瞬の隙も逃さないと言わんばかりにじっと見て。嘘も隠し事も許さない、本音を話せということなのだろう。虎徹はしばらく考え込んだ後、溜め息を吐いて向き直った。


「ないわけがないだろう」


そうして話し出す、例えばの話。憎しみだけが心を支配し、全ての存在を恨めしく思う。全てが消えてしまえばいい。全てが自分を殺そうとしている。ああ、神様は、何故こんな仕打ちをするのだろう。私は悪いことをしていない。世界に生まれ落ちただけ。皆は平穏に過ごしているのに、どうして、どうして。


「…僕を殺したいとも、思いますか」
「…ああ、殺したい」


誰だって一度は思うんじゃないかなあ、なんて笑顔で言うものだから、思わずそうですね、と笑顔で答えてしまった。

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -