時折、彼は子供に戻る。と、言うより、両親が殺された日から心が成長していないのだ。様々な経験を重ねても、心が育つには時間が掛かる。虎徹を失いかけたためか、以前よりも情緒不安定になった。だからこうして彼の家に足を運び、寝かしつける。娘が幼かった頃を思い出して、くすりと一人笑ってしまった。大事そうにぬいぐるみを抱いて眠る彼は、とても大人には見えなくて。普段の生意気な態度も、何があっても冷静を装うとするのも、大変だろうなと思った。相棒として共に過ごしてきたが、何度見ても寝顔は娘同様に可愛い。


「…ん、…虎徹さん?…寝ないん…です、か?」
「寝るよ、ちゃんと寝るから」
「そ、ですか…おやすみなさい…」
「おやすみ」


今日もいい夢を。

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