綺麗だなとぼんやりその光景を眺める。手に巻きついた茨は腕に突き刺さって、身動きが取れない。冷え切った空気は少女の瞳を表しているようで、胸が痛んだ。足音が聞こえる。徐々に近づいてきた。帰ってきたのだろう。顔を上げると氷の女王がそこには確かにいた。


「お帰り」
「血、出てるわ」
「みてぇだな。もう痛覚が駄目になっちまったみてぇで、痛くはないんだけど」


苦笑いを浮かべても彼女の表情に変化はない。凍りついたのだ。表情もそうだが、一番は心が。何故だろう。多分、俺のせいなんだろうな。氷で止血していく少女の横顔はとても綺麗だった。女王に相応しい顔だった。だけど儚くて、今にも泣きそうで。抱き締めたいのに抱き締められない。いつまでも動かない腕に俺は苛立ちを覚える。そしてまた、傷を作るのだ。


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