コポコポと水中から空気が漏れていく音。無機質な機械音。それだけが少年の耳を支配していた。此処は何処なのだろう。何もかもがぼんやりとしている。自分が何者なのかさえ彼には分からなかった。理解出来なかった。ただ目に映るのは、白。


「ようやく手元に帰ってきた」


男性とも女性とも聞いて取れる声が聞こえた。誰なのだろう、と顔を向けたい。でも体を動かせない。まるで鎖で雁字搦めにされたように。


「私の大事な玩具、このために学園都市を創ったのだ」


全てが理解出来ないまま少年は薄っすらと視界に入った影を見た。けれどやはり何も分からなくて。ゆっくりと瞼が落ち、黒に塗り潰されていく。最後に聞こえたのは子守唄のような優しい声。


「おやすみ、    」


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