人混みをかき分けた先にいたのは、真っ白な少年。今までいくら探しても手掛かりが掴めなかった、黄泉川愛穂にとって守るべき子供だ。大切にしていた少女を置き去りにして、一人消息を絶った彼の噂はいろいろと耳にしていた。けれど実際どんなことをしていたのか、本人の口から聞くまでは信じるつもりなどなかった。
だからその手にあるものを見た瞬間、戦慄が走った。あの金属の塊は、子供が、彼が持つべきものではない。何に使うのか、どんなことになるのか、そういった知識はあるはずだ。では何故、それを他者に向けている。理由なんて考えなくても分かる。―――殺すため、だ。一体どんな経緯でそうなったのかは知らないが、黄泉川は瞬時に理解した。あの子は以前とは違う、過去は過去、今は今だ。望んで誰かを殺すような人間じゃない。全てを知らずとも、怪物と呼ばれようとも。ようやく変われる。過去を捨てろと言うわけじゃない、忘れろと言うわけじゃない。けれど。


「待つじゃんよ、一方通行!!」


それはお前の未来を壊してしまう引き金だ。

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