最後に君の顔を見ることが出来て良かった、と目が合った瞬間思った。
冷たくて重い真っ白な結晶が、身体を覆っていく。今まで自分でもそうだと思える程に無茶をしてきたが、今回はどうやら駄目らしい。目の前が白から黒に変わっていき、意識が遠のいていく。ごめん、ごめんな。少年探偵団に、灰原に、博士に、おっちゃんに、園子に、今まで関わった全ての人達に。そして、蘭に。ここで俺は死ぬのだろう。けれど声は出せないから、謝罪の言葉を頭の中で唱える。村人を犠牲にすれば良かったのかもしれない。そうすれば自分と、自分の大切な者だけは救える。それなのに厄介な正義感は身体を動かしてしまうのだ。誰も死なせるな、と。だがそれでこのザマだ。情けねぇな、俺。


『新一っ…!』


苦しそうな蘭の声が、確かに聞こえた。そうだ、どうにかして生きなきゃならねぇんだ。生きて、元の身体を取り戻すんだ。アイツを、蘭、を泣かせるわけには。ありったけの力で腕を動かし、ベルトのボタンを押す。


「…君、…コナン君!」
「……ら、ん、姉ちゃ…」


ぽろぽろと温かい雫が、蘭の頬を伝い落ちる。震える体で抱きしめられ、体温と鼓動が伝わってきた。ごめんね、と掠れた声で呟くと、馬鹿ぁ、とさらに強く抱きしめられた。

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