「っ!?」 「あ、起きたかにゃー」 ビリッとした激痛が全身を走り、ソファに寝てた一方通行は瞬時に飛び起きた。突然のことで動揺している彼の目の前にいたのは、同じグループの土御門元春。右手に何かを持ちながら、ニヤニヤと気味の悪い笑顔を浮かべている。 「…土御門…、何しやがった」 「ん、ちょっと耳に穴を開けさせてもらったぜい」 よく見れば土御門の手にあるのはピアッサーであり、痛む右耳を触ればぬるりとした液体が指に付いた。恐らくは血であろうが、いちいち気にしていられない。それよりもこのふざけた馬鹿をどうにかする方が先である。 「……どォいうつもりだ」 「そう睨むなって、一方通行」 殺気立つ一方通行をまるで気にせず、土御門は彼の耳をぺろりと舐めた。 「ひっ!?」 「かーわいーにゃー」 「こ、のっ、土御門ォ!殺す!」 思わず出てしまった自分の声に鳥肌が立つ。恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら、一方通行は電極のスイッチをすぐさま入れようとした、が。ぐいっとその手を引っ張られ、彼はバランスを崩して床に倒れ込んでしまった。先程から良い様に扱われていることが憎たらしく感じ、自分の上に跨っている存在をギロリと睨む。 「まぁまぁ、落ち着けって」 「その意味分かンねェ頭を粉々にしたら落ち着くンだけどなァ」 「ひどいにゃー、ちょっと耳に穴を開けたぐらいなのに」 「ふざけンのも大概にしろよオマエ」 「……ふざけてないんだけどな」 飄々とした態度のまま土御門は先程のピアッサーを再び手に持った。訝しげに見る一方通行は少しの間のあと、彼が次に何をするのか理解した。してしまった。 「おい、まさか、」 「ピンポーン、もう片方も開けなきゃな」 「いい加減にしろっ、やめろって言ってンだろォが!」 「やめろと言われてやめる奴はいないぜい?…だってさぁ、」 首輪を付けたかったけど、既に付いているだろ。だったら耳に所有物の証、付けるしかないじゃねぇか。 - - - - - 空白を埋めていく。 |