悪いことをしました。 どんなことをしたのかは言えません。 許されない、誰かに許されても、自分が許せない。 そんな恐ろしいことを、自分はしてしまったのです。 「どうやって罪を償うのですか」 真っ黒な布で全身が包まれた、声からして女、はそう自分に問うた。どうやって、どうやって償うのだろう。出来ることなら望みは叶え、命の危険があるなら守る。けれどそれは罪を償うことなのか。分からない。どうすれば良いのだろう、何が正しいのだろうか。このままでは潰されてしまう。存在を消してしまう。自分さえも、消えて。 ―――嗚呼、そうだ。 「死にたいの?」 顔の見えない女から、ぽたりと零れ落ちた。水、雫、涙。何故彼女が泣いたのだ。 「どうして一緒にいてくれないの?」 布で覆われていた顔が見える。何処かで見た、少女。思い出せないけれど。自分は知っていた、知っているはずだ。 「そんなの嫌だよって、」 彼女の口が動いて、言葉を紡いだ。言葉が聞き取れない、けど、確かにそれは救いの言葉だ。 |