「ミサカのことどう思ってる、ってミサカはミサカは直球に尋ねてみる」
「………はァ?」


ソファに寝転がって雑誌を読んでいた一方通行は、突拍子もない質問に首を傾げた。今、黄泉川や芳川は買い出しに出掛けているのでいない。番外個体も時たま出歩くようで、此処にはいない。つまりこの家には一方通行と打ち止めの二人きりというわけだ。しかしだからといって、こんな真昼間から子供の発言に真剣になって答えるつもりはない。またいつものくだらないお遊びだろうと思い、何を言ってンだ、と適当にあしらった、のだが。


「質問に答えないと怒っちゃうよ、ってミサカはミサカはあなたの上に乗っかってみたり」


ずしっと腹の辺りに重みを感じたと思えば、打ち止めが仰向けに寝転がっている一方通行に馬乗りになっていた。いくら子供と言えどそれなりに苦しい。体を退かそうと打ち止めの顔を見上げた彼は、だがその動きをピタリと止めた。


「―――、」


起き上がりかけていた上半身は操り糸が切れたかのように、ぽすんとソファに倒れる。沈黙が部屋を包み込んだ。そしてようやく口を開いたのは、打ち止めだった。


「だから言ったでしょ、ってミサカはミサカはじれったいあなたにちょっと苛々」


何も喋らない一方通行を見て打ち止めはくすりと笑う。彼の前では見せた事のないであろう凶悪な笑みを浮かべて。電極のスイッチを切られた一方通行は、ゆらゆらと揺れる瞳でどこかを見ていた。正確には目には何も映していないし、思考を奪われたので打ち止めの姿が視界に入ろうが彼自身は認識することも出来ないのだが。


「ミサカをどう思ってるか知っているけど、あなたの口で、言葉で言われたいんだよ、ってミサカはミサカは本心を暴露してみる」


でもそれを言わせるのはまだまだ先のようだけど、ミサカは我慢出来ないの。
と、そっと打ち止めは一方通行の唇に自身のを重ね、ゆっくり時間をかけて味わう。そういった知識はネットワークに張り巡らされた情報網から簡単に手に入る。一方通行は知らない打ち止めの姿。この身で体感しているのに、何が起こっているのか認識出来ない。ただただ快感に身を任せる姿はとても可愛らしくて、打ち止めはそんな彼の一面を自分だけが見ることが出来るのだと。誰も知らない彼を、自分だけが。そんな独占欲に満たされながら、時間が過ぎていく。くちゅ、と唾液が交わる音だけが響いた。

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