「って、これは」
「どういうことなんだぁ?!」

 その光景に開いた口が塞がらない。遊園地にたどり着いた倖とギルモンは、さっそく太一と会った。……のだが。

「楽しいなー楽しいなー」

 明らかに棒読みだ。
 太一は苦しげな笑顔で走り去っていく。更に続けてヤマトやタケル、空に光子郎、丈までもが同じように走り回っている。
 皆、オモチャを引き連れているようで――いや、追いかけられている……?

「何でオモチャに追い回されてるの……?」
「もしかしたらここ、もんざえモンの“オモチャの街”かもしれない」
「“オモチャの街”?
それにもんざえモンって誰?」

 ギルモン曰く、オモチャを愛しオモチャに愛されるデジモンで見た目とは裏腹にかなりの強さを持つデジモンらしい。

「いいデジモン、なはずなんだけど――」
「子供に楽しんでもらうはずのオモチャが、子供を追いつめるようなことしてどうするの。
多分そのもんざえモンに何かが起きたんだろうね」

 おそらく、黒い歯車。
 ここ最近倖たちを襲うデジモンたちの影には、必ず歯車の姿があった。憶測ではあるがもんざえモンも黒い歯車に影響されてしまっているのでは――と倖は睨んだのだ。

「そういやアグモンたちがいないぞ!」
「もんざえモンに捕まって幽閉されてるんじゃあ」
「なっ!た、助けにいこうぜ倖!仲間なんだから!!」
「私たちが行ったとこでどうにかなるのか甚だ疑問だけどね。――まあ、何とかしましょう」

 意を決する二人。――すると、どこからか聞き覚えのある少女の声が倖たちを呼んだ。

「太刀川さん」
「倖さん!良かった〜、会えたぁ!」
「パルモンたちは無事だったのか」
「ギルモンたちこそ、太一たちみたいになってなかったのね」

 ヌメモンを追い払った後、ミミたちはもんざえモンに会った。だが、倖が思った通りいきなりミミたちを攻撃し――彼女らはここまで逃げてきたのだという。

「とにかくアグモンたちを探さなきゃ――お?何か聞こえる?」
「ギルモン、耳いいのね!」

 ギルモンを先頭に“何か”へ向かう。
 一軒の家の中に、宝箱を見つけた。確かにここから声が聞こえる。
 耳を澄ますと――アグモンやピヨモンなど、デジモンら全員の声だ。全員もんざえモンにやられ、気づいたらここに幽閉されてしまっていたのだという。

「ねえ、この箱から出られないの?」
「壊そうとしてもダメだった!」
「俺たちのことよりヤマトたちを助けることが先だ!」
「どうやって?」
「もんざえモンを倒すしかないわ!」
「ええ?!」
「無理よ!」
「パルモン、ミミ!そしてギルモン、倖!
頼りはお前たちしかいない!!」

 しかし困り果てた。
 もんざえモンはアグモンたちでさえ歯が立たない相手だ。進化もできず、尚且つ攻撃力のある技を使えるのはギルモンだけ。どうやってみんなを助ければ――



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