子供たちとピョコモンらは一斉に池へ逃げる。 とにかく追いつかれる前に村から逃げなくては。このままではみんな焼死してしまう。 池には砂に埋もれた船があり、ひとまずそこへ隠れることとなった。 子供たちは誘導し、ピョコモンらは船へ駆け上がる。 「なんかヤバイな……!」 「早く来ないと、八神くんたちが危ない――」 見ると、駆け込むピョコモンたちとただ一匹そこで誘導するピヨモンがいた。 空も同じくピヨモンの存在に気づき、「あのバカ……!」と仲間を助けているピヨモンに顔を強張らせた。 「ピヨモーン!」 「空、どうした?!」 「戻ってこい、空!!」 「武之内さん、今行ったらメラモンに襲われてしまうよ!」 倖たちの止める声も聞かず、空はピヨモンの元へ走る。 一方のピヨモンはピョコモンたちを誘導し終わり、安堵の息を吐く。――だがすぐ傍に、メラモンが歩み寄っていた。 「ピヨモン!後ろぉ!!」 ピヨモンは驚き、成す術もなくはたき落とされてしまう。 崖を転がり落ちるピヨモンを空は受け止め、強く抱き締めた。 「空、ピヨモンのこと助けに来てくれた……?」 「もちろんだよっ。大事な――仲間だからね!」 「ありがとう、空!」 お互いを強く抱き締める。 暖かい、愛情を感じた。 しかしそんな優しい一時をメラモンは与えず、片手に火の玉を作り上げ襲いかかる! 「空、危ない!」 「え?!」 「今度はあたしが空を助ける!!」 腕の中からすり抜け、ピヨモンは空を飛ぶ。 必殺技のマジカルファイアーを連続で放つが、メラモンはニヤリとほくそ笑むだけだ。――まるで効いていない。 「バーニングフィスト!!」 「あああああっ!」 燃え上がる炎の拳を受け、ピヨモンは地に落ちる。 空は悲痛な叫びを上げ、膝をついてしまう。 ピヨモンだけでは太刀打ちできないとアグモン、ガブモン、ギルモン、テントモン、パタモンがそれぞれ必殺技を放つ――が、やはり効かない。 それどころか体が大きくなっている。デジモンたちのエネルギーを吸い込んでいるのだ。 どんどん大きくなっていくばかり、中には「もうだめだ!」と絶望の声が上がる。 「ヒヒヒヒ……!燃えてるぜェェェェェェェ!!」 メラモンは崖を滑り落ち、子供たちを襲う。 ピヨモンは傷だらけの体を無理やりにお越し、強い意志で立ち上がった。 「空が危ないのに――こんなところで負けていられない!!」 ぐっと体に力を入れた。羽を大きく伸ばし、ボロボロの体で立ち塞がった。 到底勝てる見込みなどない。でも、それでも大事な透き通る“空”を――曇らせたくない! 「ピヨモン進化ー! ――バードラモン!!」 灼熱の、赤い炎に包まれた不死鳥の如く。 「……ピヨモォォォォンッ!!」 大切な空の声で、バードラモンはメラモンを押し返す! バードラモンは叫(ひめ)くとメラモンを突き放し、空へ舞い上がる。 「俺はァ……メラメラに燃えてるんだぜェ!! バーニングフィストォ!!」 メラモンが放った火の玉はバードラモンの翼に命中し、よろけてしまう。 空はバードラモンに精一杯の気持ちと大声で、「がんばって、バードラモン!!」と叫んだ。 空の強い思いが――胸に込み上げてくる。 バードラモンは空へ舞い上がると、翼をいっぱいに広げた。 ピヨモンとは違った広く大きな翼。――これで空を守ってみせるのだ。だから、負けない! 「メテオウィング!!」 翼から放たれた炎はまるで隕石のように降り注ぐ。 炎を吸収するはずのメラモンの体は耐えられず、どんどん体が小さくなり――彼の背中から黒い歯車が現れた。 高く高く飛び上がり、最後に小さく爆発してそれは消え去った……。 |