「っなにをぉぉぉぉぉ!」 「だーっ!落ち着けセレナ!」 「美しくないぞ!」 「美しさもなにもあるかー!!」 このバイク!人が黙って聞いていればっ! 口先だけで生きてきたようなだとぉ?!こちとらとんでもない人生送ってきたわ!……自分の発言で自滅するってーのは、実はもう経験済みだったりとか、これからも起きるんだろうなってのは事実だけど……。 おにょれガンバイカー! 「貴様がガンダムフォース特別隊員その一のシュウトだな。 まだまだひよっこだな、本来なら隊員など百万年早いわ」 「そんなぁ……」 「シャキッと返事せいシャキッと! キャプテンのソウルドライブを発動させられるのだろう、そんなふぬけた声でどうする!」 「は、はい……」 「声が小さい!!」 「はぁーい!!」 一通り厳しいオコトバをもらって、さっそく"戦闘の何たるか"を教えるガンバイカー。 まず最初の犠牲者はシュウトだ。 「頑張れぇー!キャプテーン!」 「ほれほれ、まだ声が小さい! もっと腹の底から声を出せ!」 「はいっ! 頑張れー!!キャプテーン!!」 「口うるさいが、なかなかの武士(もののふ)のようだな。 頼もしいことではないか」 「そうだ」 「どこがだ……」 「ほんっと」 珍しくゼロと意見が合った。 こんな風にしなくても喉痛めるだけな気がするのだが、口にするとめんどうなので黙っていることにした。 「次はセレナの番だぞ、しっかりやれよ」 「なぁぁんであたしまで……」 「ワタシの分までみっちりやるがいい」 「なんであたしがキザ騎士の分までやるのよっ!」 「教官の教えは厳しいが、自分の身になるぞ」 「……はぁ……」 キャプテンまでそんなこと言っちゃって。 「あたしには必要ないんだってばー!――んぇ?」 キャプテンの額にあるセンサーが点滅を繰り返す。 S.D.G.基地からの連絡だ。 『こちらハロ長官』 「キャプテン!」 「うろたえるでない!」 はやる気持ちを抑えきれないシュウトに、ガンバイカーが一喝する。 『貨物列車が停車駅を無視して南西に暴走中だ。 原因はダークアクシズと確認! ガンダムフォース、直ちに出動!』 「全員整列!番号一!」 またしてもガンバイカーの一言で整列し、 「一!」 「二!」 「さーん」 「四」 「五ッ!」 「火ン!」 「よーし、ガンダムフォース全員出撃!」 『はいっ!』 「おうっ!」 妙に気合いが入らないけど、事件が起きたなら行くしかないっ! 「行くぞ炎天號!」 「火、火ーン!」 「なぜワタシがバイクの言うことなど聞かねばならんのだ!」 「ボクたちも行かなきゃ!」 「がってん!」 走り込もうとするあたしたちの行く手を、ガンバイカーが阻んだ。 ちょっとっ?! 「……邪魔しないでよ!」 「何をしている、さっさと乗らんか」 『えっ』 「お前たちの足では現場到着に百万年かかる」 「あ……はい!」 「乗せてくれるんだったら素直に言えばいいのに!」 「やかましい!」 おー。照れてる照れてる。 バイクにはすでに武装したキャプテンが乗っており、あとはサイドカーにあたしたちが乗るだけである。 「ワシに乗るのは百万年早いが、仕方あるまいっ!」 あたしとシュウトは笑みを浮かべながら、ガンバイカーに乗車するのであった。 ◇ 「待たんかあっ!」 開口一番、でかい声がダークアクシズを止めにかかる。 規定以上のスピードで走る貨物列車の上を、小型戦闘機が追っていた。今回はグラップラーグフだけらしい。 「止まれえ!」 「げ、ガンダム!」 それにしても、列車もとんでもない速度だというのにあっという間に追いついてしまった。 さすがS.D.G.のバイク。ひとに文句言うだけの力はあるということか。 「コントロールホーン、確認」 「よしキャプテン、あの角を破壊せよ」 「了解」 あたしからの目線ではコントロールホーンが見てとれない。 おそらく貨物列車の先頭、機関車ロボット兄弟のとこにあるのだろう。そう。このコンテナを引っ張る機関車は二台あり、先頭に兄、そして次に弟ロボットとなっているのだ。 なんかやたら口悪い声も聞こえるし……。こいつら、暴走すると口調も荒くなるのか。 「美しくない!」 「ああ!」 「ゼロ!」 「こら!一人で行くんじゃない!」 「こんなもの、ワタシ一人で十分だ!」 いい加減我慢の限界が来たのか、一人飛び出していくゼロ。 たしかに彼は腕が立つけれど、嫌な予感がする。 キャプテンと爆熱丸も貨物列車に飛び乗り――かくして、戦いの幕が上がった! ゼロはザコソルジャーたちをかいくぐり、グラップラーグフと対峙する。 「っ! また貴様か、懲りない奴だな。 どけっ!怪我をするぞっ!」 「させてみなァっ!」 「――来たれ!古より伝わりし聖なる魔法の剣――ヴァトラスソード!」 「うっとおしい!」 空の対決。 さらにグラップラーグフが乗る戦闘機は飛行速度が速く、ゼロ「――まあまあの早さだ」と言葉をこぼした。 一方爆熱丸は、襲いかかるザコたちをばっさばっさと斬り倒していく。ほんとその名の通りザコだわ。 キャプテンは後方からコントロールホーンを狙い撃ちしようと引き金を引く――が。 「どわぁっ?!」 「ザコッ!」 「ザ、ザ、ザ、ザコォォォー!」 「俺ごと撃つ気かっ!」 「君が射軸に入っているのだ」 すんなり答えるキャプテン。 |