お前のパートナーブイモンだろ?残るからやるよ。
そう言われたのが昨日。私の手には奇跡のデジメンタルカードがある。ブイモン系大好きな私は、ブイモンがパートナーになった時すごく喜んだ。何とかブイドラモンにも進化するようになって、その時は抱き合って喜んだっけ。アルフォースブイドラモンまで進化しろとは思えない、今はブイモンとの日常を楽しめたいと考えていたが…とんでもないものが手に入れた。まぁ、デジメンタルカードが使えるのはほんの少しのデジモンしかないから、テイマーとしては必要ない子が結構あるようだ。まぁ、話はここまでして…。

『じ、じゃあ、行くよ?』
「うんっ」

緊張したせいかアークを持つ手が震える。ブイモンと目を合わせた後、アークにカードをスライドさせた。


そんなことがあったのが2時間前。
名前はマグナモンにべったりである。

『マグナモンやっぱかっこいいー、さすがロイヤルナイツー』
「名前…さっきから同じことばっか喋ってるが…」
『ダメー?』
「だ、ダメじゃないが…その、は、恥ずかしい」

いつもはブイモンが名前にべったりしていたのに、今は名前がマグナモンにくっついてる。進化した瞬間かっこいいと叫びながら抱きついてきたパートナーに混乱したマグナモンは、その場に固まってしまった。だが名前はやめることを知らず、さっきからパートナーを褒めるばかりであった。

『でも本当にかっこいいよー?ぴかぴかだよー?ムキムキだよー?』
「名前は俺が進化しなくてもいいって言ってなかったけ」
『もちろんだよ。ただ、進化した姿がかっこいいと思うだけ』

普通はあまりスキンシップをとらないパートナーが自ら抱きついている。マグナモンは自分の顔が隠れていてよかったと思った。そうじゃないと真っ赤な顔や震える口元とかがばれたはずだから。もちろんそんなマグナモンの気持ちなど分かるはずない名前はこれから何をしようかと悩んでるみたいだった。

「…その、名前そろそろ帰らないと家族が心配するだろう」
『まだ大丈夫だよ!私もうそんなに子供じゃないし!』
「中学生もまだ子供だろう。もう暗くなってきたから…」

内心もっとくっついてたいと思っていたマグナモンだが、このままいると自分の中の色んなものが爆発しそうな気がしてやめることにした。だけど名前は折角進化したからもっと遊びたいようだ。いい加減パートナーの気持ちに気づいて欲しい。

『いいじゃーん、別に』
「良くない、何かあったらどうするつもりだ」
『その時はマグナモンが助けてくれるんでしょ?』

今日の夕飯のメニューを言うかのようにさらっと言った名前。普通ならそんな恥ずかしい台詞なんて絶対しないはずなのに。余程マグナモンの進化が気に入ったようだ。もちろん言われたマグナモンはまた固まってしまった。

『ねーいいでしょー?だからもっと遊んで帰ろうよ』
「…怒られても知らないぞ」
『やった!』

当然な話、マグナモンが名前に勝てるわけなかった。普通はブイモンの時の自分のわがままに付き合ってくれるんだから、今度は自分が名前のわがままに付き合える。とか考えているが、名前よりマグナモンの方が嬉しそうだった。

「で、何をするんだ?」
『うーん、そうだね。とりあえず空を飛びたい。ブイドラモンは飛べないし、ブイモンの時にカード使ったらブイモン小さくて私持ち上げなかったもん』
「…それは言うな」

名前は小さく笑ってマグナモンの背中に上った。

「適当に飛んだら帰るからな」
『はーい!』

二人で流れ星になろう
(もちろん明日もマグナモンに進化だよ!)
(!?)