「ふぃ〜、何とか助かったぜ」
「下に地下水脈があってよかったよ」
「この地下水脈があること、知ってたの?」
「ああ。谷でのキリハの攻撃でわかったんだ」

 ということは、タイキやシャウトモン、バリスタモンもキリハから攻撃を受けたというわけか。敵も味方も関係ない――いや、今のキリハには味方の姿は見えないのかもしれない。

「そのキリハはいないみたいね」
「まさか逃げ遅れたんじゃ?!」
「まさか!キリハが――」
「……とにかく、ここから出ようよ。
話はそれからよ」

 遥瑠がタイキに手を伸ばした瞬間、岩壁からボコリッと崩れるような音が。
 振り返ると、壁には大きな穴と

「ディグモン?!」

 先程助けた――ディグモン。

「恩返しってとこかしら」
「ディグ!」
「なあ、オマエ、ここから地上に出る道を知らねえか?」
「ディググ」

 ディグモンは背を向いたかと思うと、遥瑠たちに一瞥くれる。着いてこいと言っているらしい。

「助かるぜ!」
「よし、行こう!みんな!」
『おう!』

 洞窟を駆け抜け、地上を目指す。
 きっとキリハはグラビモンに捕らわれているのだろう。――そう、信じたい。
 ……もうすぐ出口だ。目の前から光が見える。

「ディグ」
「出口だ!」
「ありがとう、ディグモン」
「ディグーグッ」
「キリハ、待ってろ!俺たちが行くまで――」

 辺り一面山と谷が広がっている。
 ちょうど真正面から、眩しくも暖かな朝日が昇っていく。――キャニオンランドの夜明けだ。

「……みんな、見て!」

 遥瑠の言葉の先には朝日――そして、“メタルグレイモン”。

「キリハ!無事だったのか!」

 朝日と共に昇ってきたのは、キリハとメタルグレイモン。
 てっきりグラビモンに捕らわれていたのかと思っていたが、どうやら無事逃げていたらしい。
 ――しかし、この胸騒ぎは何なのだろう。遥瑠は拳をつくる。

「タイキ。
貴様を倒すために俺は来た」

 キリハは腕を伸ばした。
 ただ静かに、怒りと獰猛さを秘めて。

「……俺の強さを証明するために」

 その眼は、深海よりも深く暗い。



Continua a Melody-35




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