「おれたちは一体……」
「また好き放題してたような気がしたけど全然覚えてないッキュ」
「一体何があったっていうのよ?」

 正気に戻ったデジモンたちを確認し、キリハは叫ぶ。

「今だ、タイキ、ネネ、ミチ!」

 遥瑠たちは頷いて、クロスローダーを構える!

「シャウトモン!バリスタモン!
ドルルモン!スターモンズ!スパーダモン!
――デジクロス!!
「グレイモン!メイルバードラモン!
――デジクロス!!
「メルヴァモン!スパロウモン!
――デジクロス!!
「テイルモン!カイザーレオモン!メタルシードラモン!
――デジクロス!!
――シャウトモンX4S!!
――メタルグレイモン!!
――ジェットメルヴァモン!!
――プレーラモン・タイプシレーネ!!

 合体進化を成したクロスハート連合軍は一気に畳みかける!

ギガデストロイヤー!!
「スパイシーハードラブ!」
「アクア・ヴィヴァーチェ!」

 弾丸の雨が降り注ぐ中、一方でシャウトモンX4Sは船首でオレーグモンと対峙していた。

「いくら仲間を取り返そうが、そもそもオレ様の強さには叶わねぇって!
バイキングヴュッフェ!!

 オレーグモンは斧を叩くように降り下ろし、シャウトモンX4Sを追い込む。
 そこへ仲間のマーメイモンの声が彼の耳に届く。
 ジェットメルヴァモンの猛攻に成す術もなくねじ伏せられたマーメイモン。彼女はすがるように手を伸ばし――

「せ、船長……!!」

 消えた。

「っ……?!マーメイモン!
――許さねェ、テメェらぁ……!!」

 オレーグモンは大きく目を見開いた。
 憎しみと怒気を孕んだ眼差しで貫くようにシャウトモンX4Sを睨みあげる。すると両肩が開き赤と青の魔人が現れた。

「……力貸してやろうか……?」
「許さねぇ!許さねぇ!!」
「その願い、叶えちゃおうぜベイベー!」

 怒り狂うオレーグモンより前に、二人の魔人はそびえたつ。

「ヘイヘイヘイ!ミーの影の破壊力をフルパワーにした暗黒奥義でアタックして――」
「……二度と帰れぬ世界に、ワタシが吹き飛ばす……」
「消えろ!時空の果てに!!」

 シャウトモンX4Sの頭上に暗雲が渦巻く。
 この曇にのまれると、彼らの言う通り時空の果てとやらに飛ばされるのだろう。
 だがしかし。
 バリスタモンはそれを許さなかった。

「ソンナコトサセナイ!
仲間守ル、オレノ力デ!」

 合体進化が解けると、バリスタモンただ一人がオレーグモンの前に立ちはだかる。
 スピーカーを展開し――とびきりの大音量を響かせる!

アルティメットスピーカー!!

 ガッポガッポ!ビバ・オレーグナ!!

「これは……?!」

 黄金の海に響き渡るのは、先程のオレーグモン自身の声。
 オレーグモンは驚き、まともに自身の音波を浴びる。

「さっきのオレ様の声――!
まだ体内に残ってたのか――ぐあぁっ?!」

 ――オレーグモンの体は、ゆっくりと消えていく。

「やったぜ、バリスタモン!」

 それは遥瑠たちの勝利であった――

 オレーグモンは光の粒子と化しているにも関わらず、抗わなかった。それどころか豪快に笑い出す。

「ッハハハ!
……負けた負けた。まさか自分の吹き込んだ声にやられるとは。
仲間の絆とはかくも強いもの。ま、仕方あるまいな」

 船に降り立つタイキが、オレーグモンに向かって声を張り上げた。

「――オレーグモン!
あんたは本当に変わったデスジェネラルだったよ。
敵でなく会えたら良かったのに!」
「なかなか泣けること言うね。
惚れ直したぜ、タイキ。
――せいぜい頑張れや。
仲間はお宝。大事にな!」
「厄介な敵だったが、最後は潔かった。……そこだけは認めてやる」
「もっと時間があれば……きっと仲間になれたかな」

 オレーグモンは遥瑠の呟きには答えなかった。……いや、或いはその笑みが答えなのかもしれない。
 どちらにせよ――答えを知る術は風に乗って、もう行ってしまった。

 ――数日後。
 船を修理し終えた遥瑠らは、さっそく次の国へ旅立つことを決意する。
 スパーダモンらは残ってゴールドランドの住民を助ける旅に出ると言った。

「それにしても操られてる間のこと、全然覚えてないや」
「本当……?」
「何さその恐い目!」
「おいらも全然……何かやった?」
「うん、何ていうか――ねぇ、カイ?」
「俺に振るな!」
「オレたちはバッチリ覚えてるぜ!な!」
「バッチリ覚エテルゼ!ナ!」

 シャウトモンとバリスタモンは声を上げて笑う。
 二人の絆はこれを機に更に深まったのだろう。そんな気がする、と遥瑠はそっと顔を綻ぶ。

「よし、潜航するよ!」
「おう、次の国に出発だァ!!」
『あ、主。お知らせが』
「うん?なに、ランプモン」
『先日かけたワタシの魔法、そろそろ切れるところで……』
「……オォウ……船……オォウ……」
『アンタの忠告、遅かったみたいよ』

 クロスローダーの中で、テイルモンは苦笑いを浮かべるのであった。



Continua a Melody-34




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