「なんだ、これェ?!」
「動けないっ……」

 一切の身動きを封じられた遥瑠たち。
 フライモンは好機逸すべからずとばかりに、シャウトモンに近づいた。

「この毒針をお見舞いしてやる。
刺されると全身が麻痺し、身体中青くなって――死ぬんだ!」

 尻尾の毒針がいやらしく光り、徐々にシャウトモンの腹へ寄ってくる。
 身動きが取れない遥瑠たちは止めることができず、

「ワアァァァァーーー!!」
「シャウトモン!!」

 シャウトモンは毒針に刺され、倒れ付したのだった。

「コードクラウンは頂くっ!」

 フライモンが鳥居をくぐり抜け、くじらの形をした石像にあるコードクラウンを手に入れようとする。

「っぐあぁ?!」

 フライモンはコードクラウンを手に入れられなかった。
 ホエーモンがバグラ軍に拒んでいるのだ。
 立ち往生するフライモンたちに対し、毒を受けたシャウトモンは徐々にその身が青くなっていった。

「シャウトモン、しっかりしろ!」
「バカっ!あんた簡単に死ぬわけっ?!
なんとか――なんとか頑張りなさいよ!!」

 しかし彼女らにはこの毒をどうにかする術を持っていない。

(何も、できない)

 蘇る鮮烈な過去の記憶。
 何もできないまま終わってしまった、あの瞬間。
 あの時誓ったのだ。
 何もしないで終わってしまう――“後悔”なんかで終わらせたくない!!
 遥瑠は意を決してクロスローダーを取りだそうと――




「みんな大丈夫かのぅ」
「シャウトモン、タイキ、ミチ、テイルモン……それにアーケロモンさま。無事でいてカメ!」
「今年もみんなでお祭りやりたいこ……」

 島の上に残されたチビカメモンたちは、円になって座っていた。
 彼女らがホエーモンの口内に入ってから既に時間は経ち――皆不安気に顔を曇らせている。

「ホエーモンさま、お願いしますカメ」

 チビカメモンが地面に手をつき、顔を伏せた。

「みんなを、島を、お守りくださいカメ!」

 願うチビカメモンに、アカリたちもホエーモンに祈った。
 どうか無事でいてほしい。
 どうか大切な“仲間”を……守ってほしいと。
 全員の祈りはやがてホエーモンの心に伝わった。 心の底から願う、彼らの純真な気持ちが――ホエーモンを動かす!



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