「なんだ、これェ?!」 「動けないっ……」 一切の身動きを封じられた遥瑠たち。 フライモンは好機逸すべからずとばかりに、シャウトモンに近づいた。 「この毒針をお見舞いしてやる。 刺されると全身が麻痺し、身体中青くなって――死ぬんだ!」 尻尾の毒針がいやらしく光り、徐々にシャウトモンの腹へ寄ってくる。 身動きが取れない遥瑠たちは止めることができず、 「ワアァァァァーーー!!」 「シャウトモン!!」 シャウトモンは毒針に刺され、倒れ付したのだった。 「コードクラウンは頂くっ!」 フライモンが鳥居をくぐり抜け、くじらの形をした石像にあるコードクラウンを手に入れようとする。 「っぐあぁ?!」 フライモンはコードクラウンを手に入れられなかった。 ホエーモンがバグラ軍に拒んでいるのだ。 立ち往生するフライモンたちに対し、毒を受けたシャウトモンは徐々にその身が青くなっていった。 「シャウトモン、しっかりしろ!」 「バカっ!あんた簡単に死ぬわけっ?! なんとか――なんとか頑張りなさいよ!!」 しかし彼女らにはこの毒をどうにかする術を持っていない。 (何も、できない) 蘇る鮮烈な過去の記憶。 何もできないまま終わってしまった、あの瞬間。 あの時誓ったのだ。 何もしないで終わってしまう――“後悔”なんかで終わらせたくない!! 遥瑠は意を決してクロスローダーを取りだそうと―― ◇ 「みんな大丈夫かのぅ」 「シャウトモン、タイキ、ミチ、テイルモン……それにアーケロモンさま。無事でいてカメ!」 「今年もみんなでお祭りやりたいこ……」 島の上に残されたチビカメモンたちは、円になって座っていた。 彼女らがホエーモンの口内に入ってから既に時間は経ち――皆不安気に顔を曇らせている。 「ホエーモンさま、お願いしますカメ」 チビカメモンが地面に手をつき、顔を伏せた。 「みんなを、島を、お守りくださいカメ!」 願うチビカメモンに、アカリたちもホエーモンに祈った。 どうか無事でいてほしい。 どうか大切な“仲間”を……守ってほしいと。 全員の祈りはやがてホエーモンの心に伝わった。 心の底から願う、彼らの純真な気持ちが――ホエーモンを動かす! |