爆発。
 派手な音を撒き散らせ、シャウトモンは衝動で岩壁――ホエーモンの閉じられた口に叩きつけられた。
 フライモンたちは痺れの効果がある爆弾をのませ、その隙にコードクラウンを捜す作戦に出たのだ。
 ……つまり、コードクラウンがホエーモンの体内にあることを、アーケロモンがバグラ軍にはいてしまったということになる。

「大丈夫か、シャウトモン?!」

 海に落ちたシャウトモンは無事だった。……身体中傷だらけではあるが。
 ほっと一息をつくものの、安心などしていられない。
 このまま爆弾が落とされ、ホエーモンが口に入れてしまっては大変だ。
 シャコモンが撃ち落としに入るが、すべてをそうするのには間に合わない。
 シャウトモンは身を省みずに爆弾に突っ込み、何とか海に落とすまいとする。

「シャウトモン……ホエーモンさまが傷つかないよう頑張ってるカメ」
「……っシャウトモン!」

 何度も繰り返した。
 爆弾が落ちる度に、何回も。
 傷だらけでも、体力がすり減っても、……彼はやめなかった。
 その健気な態度に胸打たれたタイキは、思わず「もうやめろ!」と言い放ち、自ら海に飛び込んだ。

「――随分と殊勝なデジモンね、シャウトモンって」
「うん。……でも、悪くはない、と思う」
「助けに行きますか、テイルモン?」
「………………」

 遥瑠が言うと、テイルモンは視線を泳がせた。
 テイルモンが他のデジモンのため――なおかつ、先ほどから喧嘩をして小馬鹿にしたシャウトモンを気にかけるなど、珍しいことであった。
 それほどシャウトモンの殊勝な態度に、彼女の中の何かが動いたのだろう。
 少し迷って、出た結論は「……少しだけ、少しだけよ!」と言った。

「なにやらフライモンたちが攻撃しようとしてるし。テイルモン、いっちゃっ――うわわわわっ?!」

 大地が再び揺らぎ、傾いた。
 ホエーモンがまた口を開いたのだ。
 遥瑠は思うようにバランスが取れず、なんとそのまま――

「海に落ちるうぅぅぅぅ?!」
「ミチー?!」

 海へまっ逆さまに落ちてしまった。
 テイルモンもそのあとに続いて海へまっ逆さまに。
 そして二人の人間とデジモンはホエーモンの口内に引きずり込まれていったのだ。
 更にフライモン軍団までもが入り――残されたのは上で息をのんで見ていたアカリたちだった。

「タイキたちが……食べられちゃった……?!」



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