スパロウモンを探しに森の奥へ進む遥瑠たち。 周囲は深い霧が立ち込めており、何も見えない。 クロスローダーの地図機能を使うタイキは「スパロウモンはこの辺にいるはず……」と呟く。 すると。 「タイキー!」 「スパロウモン!大丈夫か?」 傷だらけになったスパロウモンが、ふらふらと飛んできた。 平気、と答えるがその目には溢れんばかりの涙が溜まっている。 「スパロウモン、ネネは一体どうしたの?」 「ミチ、あのね、あのね!ネネが……ネネが消えちゃった!」 ネネが“消えた”? キュートモンが回復する一方で、スパロウモンはしどろもどろに答える。 ネネを追っている途中、濃霧が広がった瞬間のみ込まれたかのように消えた。 スパロウモンはたしかにネネの背中を見て、すぐさまその後を追ったのに――そこには壁があって弾かれてしまった……と。要約するとスパロウモンはこんなことを説明した。 タイキはワイズモンをリロードすると、話を聞いていた彼はさっそく怪奇現象について調べる。 黙って遥瑠らは彼の後ろを着いていき――やがて止まった。 「ここだ。 ここから先、特殊なデジパワーによる擬似空間包囲網が発生している」 「何だそりゃ」 「わかりやすく言ってくれるかしら」 「悪いデジモンの妖術だね。 見えない籠のようなものだ」 「どうすれば破れるんだ」 「高エネルギーを集中させ、穴を空ければ――おそらく」 「どいてろ!」 キリハは突然グレイモン、メイルバードラモンを呼び出したかと思うとデジクロスをする。 まさか 「ちょ、キリハ!何も突然メタルグレイモンで突破しなくても――」 「ギガデストロイヤー!!」 青い炎がある一点を集中して放たれると、“そこ”はガラスのように砕かれ文字通り穴が空く。 包囲網を撃ち破ったのだ。 「見つかっちゃったね」 「無念」 「キリハくん、タイキくん、ミチ」 ネネの隣にはメルヴァモンが構え、ユウと対峙していた。 ツワーモンと陰陽師のようなデジモン――ドウモン目掛けてメタルグレイモンは攻撃するが、容易く避けられてしまう。 「ったく、お前ネネのことになると何でいつもそんなに無鉄砲なんだよ」 「すんごいビックリした」 タイキと胸を抑える遥瑠の言葉にキリハは答えなかった。 一方ユウはツワーモンに抱えられながら「こいつはピンチだなぁ……どうしよ」とまったく困った様子を見せず、言った。 「やっぱりユウは自分の意思で」 「あれは戦いを楽しんでいる奴の目さ」 「知っていたの、二人とも」 「キリハがダークナイトモンに洗脳されているときとは明らかに様子が違ったし―― 初めてユウくんと話したとき、彼には確かな意思を感じたわ」 「……私、まだ信じられない……信じたくない」 「受け止めろ。これが現実だ」 ネネはきゅっと目を瞑る。 この現実から背くように。 「超次元アックス!」 空からバリンッ、……と破られる音。 次元の壁を砕いて闇騎士、ダークナイトモンが現れた。 こうして直接会うのはダストゾーン以来か。 「久しいな諸君」 「ダークナイトモン!」 「やったぁ!これで僕たちが逆転だね」 「新しいゲームの駒を用意してきたよ。 さあユウ、使いたまえ」 マントを捲れば、リリスモン、ブラストモン、イビルモンたちが。 デスジェネラルが現れた頃、三元士は休暇という名目で活動を停められていたのだ。 ブラストモンはシノビゾーンで敗れ、首だけの状態。 最強の武将タクティモンは人間界へ飛ばされオメガシャウトモンに敗れて消えた。 実質三元士はリリスモンのみしか動けないのである。 そんな彼女もやっとバグラモンから任務を任されたと思えば、ダークナイトモンの部下に転任――とただの戦闘員に成り下がってしまったのだが。 ユウは慌てるリリスモンたちを見て「おもしろいや!」と笑うとダークネスローダーを取り出し 「リリスモン!ブラストモン!イビルモンズ! ――デジクロス!!」 リリスモンらを合体進化へ導いた。 「イヤー?!何コレ!! アタシの美意識が耐えられなぁい!!」 『なんか役得イビル』 「なんか扱いザツじゃね……」 ずいぶん大胆な姿となったリリスモンは涙目で嘆く。一部は喜んでいるが。 |