陰陽恋恋 おまけ結局のところ 風間千景女事件は、翌朝には納まった。 当日は、まさしく壬生狼の名に恥じない狼の塒に泊まるわけもなく。 元々の宿へと風間は帰って行った。 翌朝 風間が寝泊まりしている宿の前をうろうろとしている土方の姿があった。 その後が気になって来てみたものの、なかなか一歩が踏み出せないでいたのだ。 ふと入口の暖簾が揺れたかと思うと、その先に金が見えた。 「風間」 声を掛ければびくりと僅かに体が震え立ち止まってしまう。 「風間?どうした?」 おずおずと暖簾から出てきた風間は俯いたまま。 その姿は昨日とはまたうって変わって、土方が長いこと見慣れてきた風間の姿だった。 「戻ったのか?」 「………あ、…ああ」 「そうか!良かったな!」 すっかり男の姿に戻った風間は、なんだかあまり浮かない顔をしている。 「嬉しくねぇのか?」 「貴様は嬉しいのか?」 「は?」 せっかく元の姿に戻れたというなら、一番嬉しいのは本人の筈なのに、何故自分の意見を聞かれているのだろう?と、土方は首を傾げた。 「その、俺は女ではなくなったわけで…」 「ああ」 「昨日は…俺は女だったのだから…貴様はその…」 何時も気丈な風間が歯切れ悪く、ぽそぽそと俯いて小さく呟く。 何が言いたいのかようやくわかってきた土方は、思わず吹き出してしまった。 「なっ!!何を笑っているっ!!」 「お前ぇ、俺が惚れてるって言ったのは、女のお前ぇだけだと思ってやがんのか?」 「そ、それは…」 「あのなぁ、俺はずっと前から、って言っただろうが。ずっと前からてめぇは女だったか?違ぇだろうが」 「………」 「男だろうが、女だろうが、関係ぇねぇんだよ。俺が惚れてんのはお前ぇなんだから」 「…土方」 「戻って良かったな。ほら、もっと喜べ!」 やっと表情が和らいだ風間を土方は強く抱き締めた。 風間の手が己の背に回り、抱き返してくるのにえもいわれぬ幸福感が身体中を満たす。 あんな騒動があったからこそ、この想いを伝えられた。 そうして、風間の心も知ることが出来た。 なんだか大変な日だったが、こうして風間とはれて恋仲になれたのだから感謝すらしたいぐらいだ。 ただ 問題は 皆同じ想いだということまで分かってしまったこと。 困ったことに、風間が男に戻ったからといって引くような連中ではない。 なぜなら 『ずっと前から好きだった』 その想いは自分一人ではなかったのだから。 「どうした?土方。急に顔色が悪くなったぞ?」 「あー…いや…」 「土方?」 「風間!」 「なんだ?」 「お前ぇは俺のもんだからなっ!!」 「?…あ、ああ」 「よし!!」 「…??」 頑張れ土方!! 負けるな土方!! 敵は多すぎるほどに多いぞ!!! 111017 斬番12345 花梨糖様リクありがとうございました! 斬番踏み抜いて、リク頂いてから大変お待たせしてしまいまして、申し訳ございません(汗) いったい何時の話だよ!な域でして…すみません 頂いたリクですが、女体化は初めて書きました… 基本私ガチのBL者なので、本当に一度も書いたことがなくてですね、どうしていいのかおろおろと…してます。 花梨糖様にはたくさんの詳細なご希望をいただきまして。 ご希望の登場人物は全員登場させてみました。 リク時にありました、全員でのちー様争奪戦と話の展開、台詞の数々も盛り込んでみましたが如何でしょうか? ご希望のようになっているとよいのですが。 少しでも楽しんで頂けていたら嬉しいです! 今回、随分と長い話になってしまいましたので、何回?何章?かに分けさせて頂きました。すみません。 最後にちー様が男に戻ってしまうのは、BL者の私の悪足掻きだと思ってくださいまし(笑) 花梨糖様のみお持ち帰り可 |