Trick or Treat!*現パロ* Happy Halloween!! 「ハロウィンと言えばやっぱ仮装でしょ!」 「お前は菓子の方がメインじゃねぇのか?」 「そんなことねぇもん!」 「無理しなくていいんだぜ!平助!」 「だからー!そんなことねぇってば!左之さんも新八っつぁんも酷ぇよっ!」 10月と言えばハロウィン。 「Trick or Treat!だよね…ま、断然いたずらだけどね!」 「菓子をくれるなら、悪戯はしないのではないのか?」 「やだなぁ一君、もっと深い意味で取ろうよ。大人なんだからさ」 無宗教ぶりを遺憾無く発揮する日本では、既に恒例とも言える行事と化した。 「………で?貴様らは何故ゆえ、俺の家で寛いでいるのだ?」 「おう!邪魔してるぜ。風間」 「遅いわっっ!!」 リビングのソファに陣取るは、土方、沖田、斎藤、原田、藤堂、永倉の面々。 我が物顔で寛ぐ場所は、風間宅のリビング。 何かにつけてつるんでいる毎度お馴染みの面子なのだ。 「貴様ら、遠慮と言う文字を知っておるか?」 「せっかくだからさ、皆で仮装パーティしようかって話になったんだよねぇ」 「そうそう!だから皆で風間んちに集まろうって!」 「お前ぇの衣装をどうするかってことで、悩んでてなぁ…」 「人の話を聞け…いや、聞かんで構わぬから出ていけ!」 相も変わらず自由過ぎる面々は、風間の言葉など意にも介さない。 むきになったとこで現状は変わらない事は熟知しているが、それでも一言、言ってやりたくなるのが風間の心情だろう。 「はいはーい!魔女っ娘なんか可愛いとおもいまーす!」 「そんじゃあ、当然、超ミニでよろしく」 勢いよく手をあげたのは平助。その横で口許に笑みを浮かべ、当然と言うように原田が続く。 「悪魔っ娘とか、蝙蝠娘でも俺はいいと思うんだけどなぁ」 「悪魔羽とか似合いそうだよねぇ。あ、僕ニーハイは譲れないから」 「絶対領域か!!」 「そうそう」 何やら妙な箇所で意気投合しているのは永倉と沖田。 飛び交う言葉の数々に、どうにも話は見えなくなるばかりで、疑問符が増え続けている風間が疑問をそのままに問い掛けた。 「…おい貴様ら、さっきから何の話を…」 「は?だからぁ…」 「さっきも言っただろ?」 「風間のハロウィンの衣装だよ」 「……って待て、ならば明らかにおかしい言葉が入っとらんか!?『娘』ってなんだっっ!!」 口々に今さら何を言ってるのか。と言わんばかりな上に、自分達が上げた意見はさも当然とばかりの顔で答えてくるのに、風間の声は当然荒くなる。 「ニーハイは賛成だ」 「わぁ、珍しく意見合いましたねぇ土方さん」 「だが俺は、獣耳と尻尾。そして、猫を推す」 「獣耳かぁ…確かに美味しいよな」 「いい加減にせんかっ!!貴様らっ!!」 風間の荒い声など何処吹く風。土方は何もなかったように己の意見を言い放てば、沖田に永倉と話は続いていく。 「…皆…それでは少々風間が不憫ではないか?」 それまでずっと黙っていた斎藤が、見かねたように盛り上がる面子の合間に静かに入った。 「…斎藤」 周りは皆敵ばかりで窮地に立たされている自分に、思わぬところから助けが入り、思わず沸き上がる感動に風間は斎藤の手を両手でぎゅうと握り締めた。 その光景に視線が一気に集中する。沖田の口からは、ずるい、と小さく漏れていた。 「斎藤」 次に名を呼んだのは土方だった。 「ちょっと考えてみてくれねぇか…今お前の目の前に居る風間だけどな、俺は猫の姿なんてぇのがいいんじゃねぇかと思うんだが。色は黒でだ」 「…黒」 「黒猫で、もこもこのもふもふだぞ?」 「もふもふ…」 「………おいこら…待て斎藤」 背後から斎藤の肩に両手を置くと耳元で囁く土方の言葉に、どこか遠くを見つめる斎藤の姿に、風間は早々嫌な予感しかしない。突如、くっ、と喉から押し出すような声と共に俯いたかと思うと苦悩するように眉を寄せる。 「すまない…風間。俺は、もふもふしたい」 「貴様……寝返りおったな…」 「い、痛い」 辛そうに絞り出すような斎藤の声の後に続いたのは、地の底から這いずり上がるような低音と、鬼の形相の風間の顔。今だ両手の中の斎藤の手に、ぎりぎりと力を掛けて握り締めていく。 「はーい。これで味方は誰もいなくなったよね」 楽しげな含み笑いを纏った声が背後から聞こえたかと思うと、いきなり後ろへと体事引っ張られた。 急に掛かった力に成す統べなく絞めていた斎藤の手を離し、何事かと自分の状態を見れば、胸に両腕を回されて沖田に後ろから引っ張られたのだ。 「離せ!」 「わ!危ないなぁ」 腕を振るようにして沖田を振り払えば、大袈裟に両手を挙げてみせるが相変わらずに声は楽しげに笑っている。 「斎藤は俺に賛同みてぇだしな。これで二票獲得だ」 土方が風間以外の面子の顔をぐるりと見る。不服そうな顔をする者も、反対を唱える者もいない。 「どーしてもって異論はねぇみてぇだな」 「俺があるわっ!!馬鹿者っ!!」 始終自分の事なのに蚊帳の外の、風間のあからさまな怒りの声も土方はきれいにスルーする。 先程風間を引っ張った為、側に立っていた沖田以外にソファから土方と原田が立ち上がった。 「なんだ?貴様ら…」 じりっと近寄ってくる三人に無意識に片足が半歩ほどさがった。 「僕はニーハイを守ってくれればそれで」 「ニーハイはかまわねぇ。それにガーターつけろや」 「あはは土方さんてば、マニアックぅ〜」 「色は黒か…いいねぇ」 理解の範疇をとうに越えた、あらぬ言葉とにんまりとした笑みを張り付けてじりじりと間合いを詰めてくる三人に、風間が後ずさる。 「さすがに三人もいりゃあなんとかなんだろ」 「んじゃぁまあ。お着替えの時間ですよっと」 「へ?」 「ちーかーげちゃん」 間の抜けた声と顔面を引き吊らせる風間をがっしりと捕らえると、三人は隣の部屋へと消えていった。 ほどなく…………… 「ぎゃああああぁぁぁぁぁぁ!!!」 風間の、なんかもう色々と崩壊したような絶叫が響き渡った。 101021 |