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バーのカウンター席に座る男3人…
「オレ思うんだけどさ…リリィのお友達が生きてるんじゃないかな」
イルミが唐突に口を開く。それはクロロもヒソカも考えたことだった。しかし、レオナルドが生きていると言うことは、理由はどうあれ十中八九、敵側にいると言うことだ。
「もしその通りなら、最悪のシナリオだな…」
「そうだね。あの子が素直に頼ってくれるといいんだけど…」
眉を顰めるクロロの横でヒソカが呟いた。それに対しイルミがどうしたの?とグラスを傾けた。
「入った時のリリィの様子が可笑しかった…何かに怯えているような…」
リリィは確かにヒソカに甘えるが、それは他愛ないこと限り。本当に困っている時には迷惑を掛けたくないと、1人で何とかしようとしてしまう。
それを知っているヒソカは今回も何かあると踏んでいた。
「まぁ、そっちはヒソカに任せるとして…オレはそのお友達を調べてみることにするよ」
「じゃあ、オレは医院長を探ろう…未だに実験ごっこが好きなら、研究所の1つや2つ所持していても不思議じゃない」
イルミとクロロはそう言うとそれぞれ席を立ち、バーを出た。残されたヒソカもグラスの残りを飲み干し外に出ると、日の落ちた道を戻り始めた。
まただ…今日もまた…。
寝不足もあり、いつもより大分早く布団に入った。色々な事があり、沢山考え疲れてしまった。
あ、もう眠れそう…と思った所でカタンとポストの蓋が閉まる音がした。見に行くのも怖い。けど、もしかしたら、只の郵便物かもしれない。
何か都合があって、こんな時間に配達をしたのかもしれない。言い訳でも考えてないと、気が可笑しくなりそうだ。
リビングと玄関を繋ぐドアを開け、そっと覗くも暗くてよく分からない。
『…ッ』
少しずつ近付いて、それを認識した途端…私はその場に崩れ落ちた。玄関に散らばる青い花びらとポストに詰め込まれた、オダマキの花。
花言葉は…必ず手に入れる…だったか。
それを前に私はもうどうしたら良いか分からなかった。ただただ怖くて…涙が溢れて、玄関に座り込み震えた。
『…なん、で?…なんなの?』
戦いなんて出来ない私は自分で犯人を倒せない。
社会的に存在しない私は警察を頼れない。
…私は…どうしたら、いいの?
『…どう、したら…ッ…』
「"助けて"って言えば良いんだよ…」
『っ!?』
すぐ側で聞こえた声に顔を上げれば…目の前にヒソカさんが立っていた。
『…なんで、ここに…』
ゆっくりと屈んで、私の頬に触れる…
「泣くほど怖い思いをしているのに、どうして頼ってくれないんだい?」
そのまま親指で優しく涙を拭ってくれた。
「一言、"助けて"と言えば…ボクは何だってしてあげるのに…」
『…迷惑、掛けたく無いんです…これ以上…』
そう思うのに…ヒソカさんが来てくれた安堵で涙が止まらない。泣いてたらまた心配されてしまうのに…
「…バカだね」
大きな腕に抱き締められた…
「迷惑なんて思ったこともないよ」
『…ッ、うぅ…』
もっと自分に優しくして…なんて、言われたら、私はまた…
『〜〜〜〜っ』
泣いてしまう。