アシアト ある日の昼下がり。 学園内では生徒会長という身分があっても、息抜きだって必要である。 それは、いかに高貴な家柄でも、どんなにどん底な人生を送っていても、生きている限り変わらない。というのがスフティル・ハーフエットの鉄則であり信条である。 よって今日も彼女は、太陽の光を金の髪に反射させながら学園の中庭を歩き休憩場所を求めて彷徨っていた。 ついさきほど、新しく生徒会に舞い込んできた仕事も、数日後に控えたテストも、ついでに言えば、今は授業時間の真っ最中であることも何も知らない。知らないことにする。 スカートのポケットに入れてある端末が、音羽からの怒濤のメッセージによりバイブレーションしっぱなしでも知らない。 今から休憩するのだ。 彼女は決めたら曲げない。それがスフティル・ハーフエットという少女である。 さくり、さくりとスフティルが中庭の芝生を踏みしめてたどり着いたのは、学園のシンボルともいえる一本の大きな木。 葉がいい具合に広がっていて、太陽の光を丁度いい明るさに調節されたそのふもとを今日の休憩場所に決めたスフティルは、まっすぐと足を進めた。 (ここでお昼寝したら最高ね) ふふん、と鼻歌でも歌いだしそうなほどのご機嫌で木のふもとまでたどり着いたスフティルは、一人の先客がいることに気が付いて足を止めた。 この時間、学園は授業時間の真っ最中である。 彼女と同じく授業を抜け出してきた生徒であろうか。 そんな度胸を持った学生がいたなんて、と自分のことは棚に上げて多少の驚きを抱きつつもその生徒への興味が膨らんだスフティルは、止めた足を再度動かすとその生徒の元へと直行した。 どうやら青い髪の男子学生の様だ。 彼はズボンのポケットへと手を入れると、一つの箱らしきものを取り出した。 …喫煙家らしい。 (まいったな…タバコの煙は苦手なんだけども) ザッと足音付きで、スフティルは青色の髪の男子学生の前へと仁王立ちした。すると、ちょうど彼に影が差したようで、それに気が付いた男子学生がスフティルを見上げたことで二人の視線が合わさった。 「なんでこんなところにいるのよ?」 スフティルは、緊張かはたまた興味の裏返しか、想像以上にドスの効いた声音になってしまったことに自分で驚いた。しかし青年は気分を悪くするというよりも、いかにも「めんどくさい」というような表情をしてスフティルの言葉に答えてくれた。 「は?…なんでって…。てか、お前こそなんでこんなところにいるんだよ。成績優秀な生徒会長様だろ」 彼は、眉根をひそめながら一度取り出したタバコの箱をポケットへとしまい込んだ。気遣いか、はたまたチクられるのが面倒くさいのかは定かではない。しかしスフティルが気になったのではそんなところではなく、彼の言葉であった。 「…そのレッテル、やめてくれない?…てか、私は良いのよ、別に。授業嫌いだし、意味ないし。…で、私の質問の答えは?」 もはや傍若無人ともいえるスフティルの言葉。 タバコを吸おうとしていた彼もさすがに唖然とした表情を見せたが、スフティルはニッと口角を上げると再度彼に問うた。 「で?」 「……以外に見つからないんだぜ、ここ」 会話がかみ合っているのか、合っていないのか。 微妙な会話ではあったが、スフティルにとってはご機嫌を伺われたり辺に距離を取られる対応よりも、ずっと心地よいものだった。 そして彼女は決めた。 (やっぱり、私の目に狂いはなかった!) 今日の休憩は当初の予定通り、この木の根元でお昼寝をしよう。 ひとつ、予定外なことに、見知らぬ男子生徒が先客として居座っていたが、関係ない。 すこしお隣さんとしてお邪魔させてもらおう。 「なら私も」 一声かけて、男子学生と少し距離を開けたところに腰掛けた。 まぁ、授業をトンズラしたもの同士、きっと仲良くなれるさ。 そんなお気楽な思考を持ったまま彼女は木に寄りかかると、静かに目を閉じた。 これが、スフティル・ハーフエットが記憶する、瀬野宮浩太郎との初めての会話である。 ****** しきりに降り続ける雨が、スフティルの黄金の髪の毛を重たく濡らしていく。 傘もささずに部屋を飛び出した彼女は、全身を雨に濡らせながら行く当てもなく彷徨っていた。 彼女が今、持っているものは何もない。 …いや、あるとしたらたった一つ。 心の内に秘めた小さくて大切な想いだけ。 けれど、幼いうちから希望というものを取り上げられて過ごしてきた彼女は、その大切な一つをどう扱っていいか分からない。 スフティルが、一歩一歩足を進めるたびに、道路に溜まった雨水が跳ね上がる。 (あぁ、みじめだなぁ) 今は得意の魔法を使って濡れた身体を乾かすことさえできない。 彼女が柄の間の自由の中で得た思い出を夢想することだけが、今のスフティルに出来る精一杯のあがきだった。 ****** 「あれ!?そこの青い髪の君は!?」 ある日の放課後。生徒会の仕事を終えたスフティルが学園内の廊下を歩いていると、いつぞやの時に見かけた青い髪の男子学生が目に入った。 一応、天真爛漫少女として名をはせる彼女はやはり今日も周囲の視線にお構いなしに、ターゲットに向けて声を掛けた。 いかんせん、あの日、スフティルが目を覚ました時には彼の姿が消えていたため名前を知ることすら出来なかったのだ。そのため、彼を呼び止めるすべがこの方法になってしまったことは少し申し訳なく思うが、あからさまに肩を揺らし、めんどくさそうな顔でこちらを振り返らなくてもいいではないか。 少しだけ、彼の反応に傷ついたスフティルだが。あえてその傷は見せず天真爛漫を貫きとおすことにした。 鉄則その2。生徒会長はいつも天真爛漫であれ! 「きみきみ!!そんなめんどくさそうな顔しないで!こないだ一緒に寝た仲じゃないか!」 「え!フューフ、いつのまに…!?」 「おい」 スフティルの言葉により、周囲がザワつき始めた。生徒会室を出た時から彼女の後ろを歩いていた音羽がそれを助長させるようにオーバーリアクションをしたおかげで、そのザワつきは更に広まった。 その様子を嫌でも感じ取ったらしい青髪の男子が、今にもひとを殺せそうな視線と声音で二人を制すが、そんなもの痛くもかゆくもないのがこの面倒くさい生徒会金髪女子と黒髪女子である。 「そういえば名前を聞いてなかったね!何するところなの!?」 「ダメですよフューフ…。せめて一緒に寝た仲なら名前くらい…」 「紛らわしい言い方をするんじゃねぇ!大体、勝手に隣に座って昼寝を始めたのはあんただろ」 「そうだけどさー」 「へぇ、昼寝ですか…。私の連絡も、授業も全部放ってなげて、昼寝してたんですね?」 「あっ、いや、あの、ちょっと、きみ!?」 「なんだよ」 しかし彼とのやり取りで、授業をさぼった挙句に昼寝をしていたことが音羽にばれてしまったスフティルは一気に窮地に追いやられる。 きみの発言のせいだぞ、と浩太郎をにらんだところで廊下の端の方から教師が叫んだ。 「おーい、瀬野宮!補講前になにしているんだ!さっさとこい!」 「ちっ…」 「きみ、瀬野宮君っていうんだ!しかもこれから補講!?」 「あんた、さっきからうるせぇな…」 「あぁ、瀬野宮浩太郎さんですか。ノミャコーですね!」 「おい。勝手に妙なあだなをつけるんじゃねえ」 「あっ、いいねその名前!」 面倒くさい、と顔に書いてあるような表情の浩太郎は、音羽のネーミング被害に遭い抗議の声を上げるが、誰も仲介に入るどころか、周囲にいた生徒が皆遠ざかっていく。 おみやげに「生徒会長と寝たらしい」という噂を持って。 彼にとっては迷惑極まりない話である。いい加減にしろ、と浩太郎がキレる寸前、再度教師の喝が響き渡った。 「いい加減にしろ!瀬野宮!…それからハーフエットもいるのか!!ちょうどいい!お前たち揃って補講にさっさとこい!!」 スフティルは、げぇという顔をし、音羽が「それじゃぁ、これで」と颯爽と去っていく。一応、成績優秀生徒会長という肩書があるものの、それはテストを受ければの話だ。 実質サボり魔であるスフティルが授業に出なければ、当然補講が付きまとう。彼女はすっかり数科目分の補講に呼び出されていることを忘れていた。音羽に縋ろうとしたが、ひらりと躱され、それは叶わぬ夢となった。 残るは浩太郎。同じように恨めしそうに、かつ面倒くさそうに教師をにらむ彼を見上げれば、ふと視線が絡み合い、お互い大きなため息をつく。 「ったく。あんたも補講なわけ?生徒会長なのに」 「その呼び方やめて。スフティルっていう名前あるから」 「あーそう」 もう、彼女の相手をするのも面倒くさい、という風に背中を向けて歩き出した浩太郎はボリボリと頭を掻きながらあくびをする。 その様子をみて教師が注意をするが、ひらりとスルーするあたり常習犯なのだろう。 スフティルも諦めて彼の背中を追う。 仕方ない。今日は補講に出るとしよう。 教室の席についたスフティルが黒ぶちの眼鏡を装着すると、少し離れた場所に座った浩太郎が不思議そうな顔してこちらに視線を向けているのに気が付いた。 「なに?浩太郎」 「いきなりファーストネーム…。」 「なにか言った?」 「いや、あんた目ぇ悪いの?」 彼の疑問は最もである。彼女は生徒の前に出る時に眼鏡をつけて登場したことはない。 別段、裸眼で生活に困るほどの視力ではないが、しっかり見えるという視力なわけでもない。とりわけ勉強をするときには眼鏡を付けた方が楽に見えるし余計な力を使わずにすむ。 そんな理由を話せば、浩太郎はさして興味も無かったかのように「ふーん」と一言返すと机に向き直ってしまった。 「……老眼ってワケか」 「いまなんつった」 流石に聞き流せない言葉にスフティルが立ち上がりファイティングポーズを取る。 しかし浩太郎は頬杖を突く。 「耳も遠いのな」 「喧嘩売ってるよね!?」 さぁ、飛び蹴りだというところで教師から怒りのチョーク投げを喰らったスフティル。 なんで私だけ、と理不尽に打ち震えながら彼をにらむが何でもなかったかのようにノートを取り続けている。 (何なのよ…!腹立つわぁ!!アイギスといい勝負よね!) 怒りに震えるスフティル。 それからというものの、彼女は学園内で浩太郎を見かけるたびに声をかけた。 大体どんな時でも面倒くさいという彼は、オーラからして全力で訴えてくる。 ここで鉄則その3。めげない。 やがて、どんなに適当に冷たくあしらっても付きまとう彼女にいい加減疲れたらしい浩太郎は、スフティルに絡まれたら適度に相手をするようになった。 この現象は音羽からみれば、「賢いスフティルの扱い方」を覚えたに過ぎないが、スフティルにとっては、浩太郎の対応が胸の内に小さな大事なものを生み出すきっかけと変化していった。 雨の日。 学園の玄関口でびしょ濡れのスフティルを見かけた浩太郎が一言 「…なんでそんなに濡れんだよ」 と引いたような表情で話しかけてくれただけでスフティルは一日鼻歌を歌って過ごす。 晴れの日。 今日もいい天気だなぁ。とのんびり歩いているスフティルが遠くに浩太郎を見つけて叫ぶように名前を呼べば、振り返りながら彼が一言 「あんたの声、うるさいからすぐわかる」 と面倒くさそうに言えば、スフティルは生徒会の仕事を歌いながらこなす。 雪の日。 道端でアイギスとの雪合戦に巻き込まれた浩太郎が一言 「…お前らふざけんなよ」 とドスの効いた声で喝を入れれば、一日アイギスに八つ当たりをして過ごすようになった。 まるで一喜一憂の全てが瀬野宮浩太郎を通じて発生しているかのような毎日に、スフティルの胸は躍り、毎日毎日が楽しくてしかたなくなってしまったのだ。 今まで、音羽や生徒会のメンバーと絡んでいたときとは違う世界の鮮やかさに気が付いたとき、スフティルはその胸の内に秘めた大切な想いに気が付いた。 そして同時に大きな戸惑いが生じたのだ。 (出来損ないの私が、こんなもの) ハーフエット家の第一子女児として生を受けたスフティルが一生抱えていかなければならない大きな傷。それが、想いを素直に受け入れることを阻害したのだ。 そして月日は廻り、ついに今日。 まるで、思い通りに動かないおもちゃに癇癪を起した子供のように、スフティルは行くあてもなく大雨の外へと飛び出したのだ。 ****** (こんな想い、浩太郎に対して迷惑じゃん…) 行くあてもない彼女がたどり着いたのは、初めて浩太郎と出会った、あの木のふもとだった。 スフティルはそれに気が付つかずに、力尽きたようにその場に座り込むと膝を抱えた。 もう、濡れた芝生に腰を下ろしたところで、濡れたことが分からないくらいに身体は冷え切っていて、心はどうしようもなく疲れていた。 大嫌いな、もはや恐怖を覚えるほどのあの家に縛られない生活で、スフティルは恋をしてしまった。 自分の知っている許婚を通してみた世界は、浩太郎を通じる世界のように鮮やかではなかったし、心躍る日々ではなかった。 そう考えただけで、胸がぎゅっと苦しくなるのに考えることをやめられない。 (『これ』は蓋をしなきゃ…!じゃないとまた…!) スフティルは膝をぎゅっと強く抱えた。この想いに気付いてしまった今、どんどん大きくなる『これ』を抑えておくことも出来ない。ならば、蓋をして、無かったことに。 そして、いつも通りの成績優秀生徒会長の肩書だけを背負って生きていかないと。 ただの一人善がりなこの思いだけが、今のスフティルの心を自衛する手段ともいえた。 幼少期から自尊心というものを奪われてきた彼女は、とてつもなく自分を否定されることに恐怖を覚えている。 もし、この想いが浩太郎に露見してしまい、否定されたら。 そう考えただけで彼女は底知れない恐怖に襲われた。 他者からの「成績優秀生徒会長」という評価だけが、今の彼女を彼女たらしめている状況で、他の肩書に変更されることが怖いのだ。 だから彼女は必死に蓋をしようとするが、そんな抵抗むなしく、彼女の内に抱えた想いはどんどん大きくなる。 (忘れろ、忘れろ、忘れろ…!) ただの一友人として、また接することができるように。 すると、小さく座り込むスフティルの頭上に暗く影が落ちた。 スフティルはザッという鈍い足音と、周囲の雨粒が跳ね返る音の変化で誰かが近づいてきたことに気が付き顔を上げた。 「こ、…たろ……、なん、で…」 いま、一番会いたくなかった人物の登場に驚きを隠せないスフティルはその衝撃のあまり、喉からうまく声を出すことが出来なかった。 その様子に驚いたのか、目の前に立つ浩太郎は一瞬たじろぐ様子を見せたものの、すぐに表情を険しくすると、自分が来ていた上着をスフティルに被せた。 「あんた…!なにしてるんだよ!風邪ひくだろ!生徒会長が風邪ひいたらどうすんだ!」 「え……、いや、浩太郎なんで怒って…てか、なんで来たの…?私、まだ」 「煩い」 有無を言わさずスフティルの腕を引っ張り立ち上がらせた浩太郎はそのまま何処かへ連れて行こうと足を動かした。 彼が触れている腕からまるで心臓が爆発しそうな感覚が襲いかかってくる。 その感覚に、スフティルはまだ戻れないと抵抗するが、悲しいかな男女の差は簡単に覆せない。 ズルズルと抵抗しながら引っ張られていくスフティルは精一杯抗議の声を上げる。 「まだ!まだだめなの…っ!蓋!できてな……あ」 「なに?」 「いや、なんでも…」 「蓋が、なに?とにかく屋根あるところまで行くぞ」 チラリ、と肩越しに振り返った浩太郎の表情は今までにスフティルが見たこともないような表情で、余計にスフティルは足を進めるのを躊躇してしまう。 しかしお構いなしに浩太郎が彼女を引っ張ってきたことで、二人は無事屋根のしたにたどり着くことができた。 「…それで、こんな土砂降りのなか飛び出した理由は?人様に面倒かけて言うことは?」 「その…ごめんなさい」 先に沈黙を破ったのは浩太郎で、いつもとは違うやり取りにスフティルは若干の戸惑いを覚えつつも、また一つ想いが大きくなるのを感じた。 あぁ、だめだ。 どうやらスフティルがまた逃げ出さないようにと腕はまだ掴まれたままで、心臓が飛び出そうなほどに高鳴っている。 まさか飛び出した自分を誰かが探しにくるなんて予想外で、更に浩太郎が来ることなんてもっと予想していなかったため、彼女はどうしていいか分からずプチパニックに陥った。 あわあわ、と彼女が混乱していると再度浩太郎が口を開いた。 「補講帰りに廊下歩いてたらあんたが木の下に座っているのが見えたんだよ。なにしてたんだ……って、あんた、なんでそんな顔してるんだよ」 思わず、浩太郎の言葉にスフティルが顔を上げた。 そしてその顔はバッチリ彼にみられてしまった。 いまの彼女の顔は真っ赤に染まっていて、その表情は、今まで誰にも見せたことの無いものだった。 まるで、自分を心配したかのような言い方で、今のスフティルが喜ばないわけが無いのだ。 (あぁ、また起爆剤が増えた!) 浩太郎の一言でまた、想いがあふれ出す。 それは大きなうねりとなって、スフティルの胸の内から飛び出した。 「ああああ!もう!人がせっかく無かったことにしようとしたのに!」 「は?なんのことだよ」 「腕!掴まれてたらドキドキするでしょうが!」 「あ、すまん」 「そうじゃなくて!」 「じゃあなんだよ」 スフティルに腕を離せと言われたから離したのに、今度は逆切れされた浩太郎が若干、というか既に募っている苛立ちを更に加速させた。 つい、ムッとしたような浩太郎だが、一応スフティルの話を聴いてはくれるらしい。 二人して、びしょ濡れになって、屋根の下で言い合う様子は、はたから見たらさぞ滑稽であろう。 しかし、現在のスフティルにそんなことを気にしている様子はない。 なんかもう、色々悩むのが疲れてきてしまった。 これは、蓋をすることは無理そうだ。 「恋しちゃったの!君に!!返事は次会ったときに聴かせてね!!じゃあね!!!」 もはやヤケクソである。三下悪役の捨て台詞同然に叫んだスフティルはそのまま浩太郎を置いて飛び出した。 被せて貰った上着を着用したまま飛び出してしまったが、もうどうにでもなれ。 いっそのこと、自分のアイデンティティが変化して、耐えられなくなったときは海にでも身投げしよう。 そして自分がログアウトしてしまえば、世界はそのまま私の知らないところで動き続ける。 どしゃぶりの中、スフティルは心中、そんなことを思いながら、雨水をまき散らしながら駆けて行った。 [ 1/1 ]← → back |