守りたいと思った。
彼が必死で守ろうとしたものを、私も守りたいと思った。


「くっ、これが連邦のモビルスーツか…!」

「ただのシミュレートだが」

「ちぇっ、ティエリアはお堅いなあ」


新生ソレスタルビーイングにて製作されたガンダム四機のパイロットは未だに一人しか決まっていない。
前回と同様に、予備パイロットとして同乗する私は毎日ひたすらシミュレートに励んでいる。
ってゆーか良くね?もう私で良くね?
刹那は見つからないしアレルヤは多分捕まってるし。ロックオンは、いなくなってしまったし。

同じく予備パイロットのラッセ・アイオンに不満はないのと以前聞いたら、ガンダムがパイロットを選んでいるんだとか意味の分からない答えが返ってきた。ヴェーダを失った今、パイロットを選ぶのは他でもない私たちだろう。それをガンダムが選ぶなんて、と考え耽っていたらモニタに眼鏡の美人が映し出された。


「君の努力には感謝する」

「ほう」

「だが、やはり僕には刹那やアレルヤを諦めきれない」

「じゃあケルディム頂戴な」

「……それ、は」


整った眉が歪むのを見て、モニタの電源を落とした。
ハッチを抜けて、直接美人と向かい合う。
四年前には見ることが出来なかった困惑した表情が新鮮で、からかいたくなる。


「予備って立場、昔から嫌いだって知ってるでしょ」

「……」

「だんまりですか」


四年前なら嫌味の一つどころか三つも四つも返したくせに、目の前の彼は視線を床に落として気まずそうに口を閉ざしている。
むくむくと湧き出る可虐心を隠すことなく、私はティエリアに棘を刺していった。


「なら、私かラッセ以外にいるの」

「……」

「ケルディムは模型か何か?それともあなたがパイロットになるつもり?」


唇を噛んで動かないティエリアに、だんまりは飽きた、と付け足してその横を通り過ぎる。
これ以上イジメたら泣いてしまいそう。それもそれで見てみたいけど。

部屋に戻ろうとして、もう一度ティエリアに顔を向ける。


「私だってね、守りたいんだよ」

「……」

「ロックオンが守ろうとした世界を、守ろうとするティエリアを」


船で帰りを待つのではなく、隣に立って。君を守りたいんだよ。
君が守ろうとする世界も一緒に。
言うだけ言ってティエリアの反応を待たずにその場を後にした。




弾き飛ばせレッドアイズ
101012
ニール夢を書いているつもりだった。ほんともう最近自分がよく分からない。
ぶれぶれぶれぶれ

 


T O P

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