病のように何度も思う。あの時止めていれば、あの時泣けていれば、あの時側にいてと言えていたなら。何度も何度もなんども思う。もしも、もしもがあったなら彼はいなくならなかったのだろうか。私がもっと強ければ良かったの。私が彼をすきになったのがいけないの。苦しい。苦しい。どこにいるの。どうして側にいてくれないの。優しく手を握ってはくれないの?

痛いよ、縛られた手足と涙も出ない目とすきなひとを無くした心がとっても痛いよ。


「花子、今は何も考えるな」

「ねえ刹那、何で刹那は生きてるの。何であの人が死んだの。何で私は生きてるの」

「…大人しくしていろ」

「ねえ刹那、痛いの、手が。離して、解いて」


何で縛るの刹那。これじゃあ銃が握れない、引き金どころか安全装置だって解除出来ないじゃない。痛いの刹那。


「ねえ刹那、解いて。痛いの、痛い。死にたい死にたい死にたい死にたい、刹那解いて!」

「お前は、ロックオンの希望だ…っ!」

「希望?何それ私とロックオンを一緒にしてくれるもの?ねえ刹那、私ロックオンに会えるの?」


逢いたいよロックオン、一緒にいたいよロックオン。私を置いて先を歩くなんて今までしなかったじゃない。どこに行ったの。どこに向かったら会えるの。逢いたいよロックオン、苦しいよ。
早く解いて刹那。手が痛いよ。


「死にたい死にたい死にたい、ねえ刹那私が悪いの。私が悪いのだから私」

「花子!!」




――どうしてこんなことになってしまったんだろう。

半壊したエクシアで何とか生き延びながら無人コロニーを転々としていた所に、嘗ての仲間を見つけた。生きることを放棄し、何も口にせずただ朽ち果てるのを待つだけだった花子を保護し動けるまで回復したのは良かったが、精神は崩壊したままだった。毎日毎日死にたい逢いたいと騒ぎ立て疲れたら眠りにつく花子の側にいては、自分の精神も砕けてしまいそうだ。
どうして死にたいんだ。殺せと一言いってくれたら、楽になるのに。


「俺はお前を殺さない。花子がそれを望まない限り」

「死にたい、死にたい死にたい」

「俺は側に居続ける」


ロックオン・ストラトスが守ろうとした小さな命を俺の意志では消してはいけない。俺も望まない。花子が望まない限り。


「せつ、せつな。死にたいよ死にたいよ!どこに行ったのロックオン、逢いたいよ。逢いたいよう!」








090108

 


T O P

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