ソーマの首を見ていると、なぜだか線を入れたくなる。鋭利な剃刀ですっと横に一本線を入れてみたくなる。
細い細い、長い首。白くて折れそうで、私の大好きなソーマの頭を支える首。

ついっと撫でたら、居心地悪そうにソーマの眉毛が反応した。
寝ているのか、寝たフリをしているのか定かではないけど、何も言われないならこのまま好きなだけ触ってしまおう。


「ソーマは綺麗」


薄暗がりの寝室で見る彼女はまるで幽霊の様に青白かった。髪も肌も唇さえも白く見えて、私が少し触る度に黒く汚れていく。実際にはただの影だけれど。
肉の薄い頬から唇へ指を滑らせて、その感触を暫く楽しむ。綺麗。


「ソーマ」


ダメだ。触るだけじゃやっぱり足りない。我慢出来なくて、ゆっくり身体を起こしてキスをする。柔らかい。暖かい。呼吸をする為にか、自然と開いた唇の隙間から舌を滑り込ませて唾液を交える。ぬるぬると滑る内壁や凹凸のある上顎を堪能していく内にずくずくと内股が蒸れるのが分かった。
こんなにしても反応がないなんて、ソーマも意外と無防備だな。


「んぅ…」


どうしよう。このまま自慰に走ってソーマの目が覚めた時、言い訳の仕様がない。でも抑えるには遅いしなあ。トイレで、なんて男子みたいな事もしたくない。
発情した犬の様にはあはあと一人喘ぐ姿も中々情け無い。それもこれもソーマの色香に中られた所為だ。ああもうどうしよう。


「……躾のなっていない犬ですね」

「うわっ!ソーマ起きたの」

「最初から寝ていません」


なら雰囲気を察して起きてほしいんだけど。恋人の発情する様を楽しむ趣味でも持ってるのか。放置プレイか。アブノーマルか。
羞恥と戦う私を余所に、ソーマは主に私の唾液でびちゃびちゃになった口の周りを、あろう事か舌なめずりで拭ってしまった。誘ってるのか、お前。


「ねえ、我慢出来ない」

「そうですね…では犬ではなくて、ネコになってもらいましょうか」


いつからそんな専門用語を使う子になったんだ。出会った頃は少しくっつくだけで頬を染め愛らしく微笑んでいたって言うのに!


「や、ソーマにタチは無理でしょ」

「やってみなければ分かりません」

「ほら、強気受けとか誘い受け的な…?」

「なら年下攻めもアリでしょう」


もうイヤ、こんな不毛な会話!!



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090122

 


T O P

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