色を失う花束捧げ、


色を失う花束捧げ、
出来損ないの幸福
宝の在処は知っていた
煌めいて消失
紙一重で内を焦がす
揺らめく硝子の透過率
残像はそこになく
その箱庭は美しい
黎明に散る深窓の影
暖かな幻を遊泳
僕の心臓を返して

酸素の胎内で溺れ死ぬ
きみが夢見た珊瑚礁
陸に上がった人魚の呼吸
空隙の海に錨を下ろす
投げ捨てた免罪符
緩やかに沈澱
溢れる吐息を集めるように
奈落の底の深海魚
透明の羊水を泳ぐ
撃ち落とされた青い鳥
綺麗なままなら良かったね

従順の姫君を食す
声を枯らした純潔へ
無色透明な小瓶の中で
その赤い舌が欲しい
脳髄を揺らす恍惚
不埒の毒で死に至る
吐いて捨てる白濁
世界に孵る胎児のように
曇った窓から何を見るの
跪いて愛を誓う
柔らかく淫を開いて

どうぞ透明な輪郭を
鏡に映って乱反射
純粋の首を絞める
不確かな指先
鮮やかに透き通る
最果ての慟哭を聞け
あの子が欲しい
澱んだ光はきみを焦がす
綺麗なだけなら欲しくない
空に描いた楽園
遠回りの幻でした
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