せめてこの息を止めてよ


せめてこの息を止めてよ
最後は君だけ残ればいい
蜂蜜に溶いて攫って
36℃じゃまだ足りない
子供はもう眠る時間です
焦れた舌先が痛いの
微分したって触れられない
焦げ付く心臓に爪を立てて
あとは瞳を閉じるだけ
愛を浮かべたリップノイズ
甘い刺激がお好きなようで

XとYの交点
赤い侵食と咬み痕
貴方のための呼吸だった
裏切りの薬指が迎撃
水槽の端っこにいる僕ら
愛は静謐のモルヒネ
硝子の温度で欺くだけ
甘い唇に添えてみる
残像の向こう側で陶酔
そして呼吸を棄てる僕
きみと同じ色の星だった

いっそ攫って欲しかった
真夜中の溜息は少し甘い
触れた先は灰の楽園
埋め込まれた銃弾が痛いの
恋でもなく愛でもなく
きみの脚先で心臓を蹴って
微睡に溶けるロマンス
欠片も残さず綺麗に食べて
糖蜜仕立ての弾丸で
きみは水彩のリコリス
融解点で足掻いてみせろ

綺羅星のエレジー
瞳も蕩ける二十四時
刹那の情なら捨てておいで
脳髄に沁みる官能
一体誰に許しを乞うの
確かな檻に閉じ込めてよ
飛び降りた天使
冷熱に焦げるシンパシー
君のあぶくだけ食べるよ
明けない夜の話
愛で囲んで鍵を掛けたの
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