飲み下した毒林檎


飲み下した毒林檎
零時になったらさようなら
擦り切れた赤い靴
泡になるなんて嘘だから
彩色に染め上げる
お伽噺にには近すぎる
魔法の呪文を教えてよ
溺れる人形
愛のままに我儘に
触れた場所から朽ちていく
さあその毒を飲め

一番星まで連れてって
零れ落ちた星屑
煮詰めたある日の夜の味
咀嚼するなら宇宙がいい
一億年後に幸せになろう
掴めたはずの七色は何処
手を伸ばせば届きましたか
灰かぶりの理想郷
銀河の果てで待ち合わせ
喉を貫く彗星さえ愛しい
濃紺に焦がれた

欲を孕んだ罪の花弁
指先から痺れ出す
楽園とは程遠い
夜明けの砂浜で心中
帰還しない鎮魂歌
あしらうなら爪先で
噛み砕いて欠落
誘い落ちる甘美な蜜
枯れる前に摘み取って
ならば世界に願おうか
食べかけの砂糖菓子

咲くは麗し永久の夢
宵の月を愛でていた
肺を潰して慈しむほど
水面下で熱をもつ
昇る泡沫は消えゆ
彷徨えば零落
誘う熱の冷めぬこと
堪能する夢の花
透けるような肩を寄せて
名前も知らない世界へ
残像と手を繋ぐ
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