リクエスト作品 | ナノ






「あ、マルコだ」
「マルコだ、じゃねぇよい馬鹿ナマエ」
「馬鹿って言うほうが馬鹿なんですー」
「小学生か」

バイトに行くついでに朝のゴミ捨てに行こうとドアを開けたら、全く同じタイミングで隣のドアからマルコが出てきた。そして会って早々馬鹿呼ばわりされた。うぬぅ。

マルコとは私の目の前にいるパイナッ……、独特な髪形のおっさん。ちなみに歳は一回りくらい離れている。

マルコは何やらでかい会社で働いているらしく、中々高そうなスーツを着こなしている。腕に着けている腕時計もシンプルながらどこか高級感を漂わせている。貧乏な私への当て付けか!!

「見なけりゃいいだけの話だろい」
「読心術かこの野朗」
「そんなに俺のスーツと腕時計を睨んでたら分かるに決まってんだろい」
「睨んでなんかないし!私が見てたのはマルコの後ろにある田中さん家のドアだし!」
「ワケ分かんねぇよい。しかも俺の後ろにあるのは鈴木さん家だ」
「あれ!?田中さんは!?」
「一昨日引っ越したよい」
「マジで!?」

知らなかった事実を知ってショックを受けていると、マルコは「何アホ面晒してんだい」と言って私にでこピンを食らわせてから横を通り過ぎた。いったい!!…って、ちょっ!さり気なく私のゴミの横にマルコのゴミまで置いてくな!!

「俺のも運んどけよい」
「嫌だし!つーかマルコは男なんだからか弱い女の私の分を持ってあげるとかしてよ!!」
「何処にか弱い女がいるって?」
「失礼だな!」
「お。そろそろエレベーターが来るよい」
「聞けよ!」

私の話を無視してエレベーターの方へスタスタと歩いていくマルコ。マルコこの野朗!足長いんだよ馬鹿!追いつけないし!!

私が小走りでマルコを追いかけていると、マルコは振り返ってから子馬鹿にしたような顔で笑いやがった。…コイツっ…!!

「短足」
「その長ったらしい足ちょん切ってゴミ袋に詰めてやる!」
「あーはいはい」
「適当!」
「あと5秒でここまで来ないとエレベーターに乗せねぇよい」
「せめてもう少し待ってよ!」
「3秒」
「短くなった!?」

そんな風にやりとりをしていたら、いつの間にかエレベーターが到着していたようで、廊下の中間辺りで騒いでいた私達は急いで乗り込んだ。

「全く…ナマエのせいで朝から疲れるよい」
「こっちの台詞だよ!何で私が朝から罵倒されないといけないの!?」
「それが今日のお前の運命だからだ」
「ほぇあ!?ほ、ホーキンスさん!?」
「おはようナマエ」
「あ、おはようございます」

私とマルコしか乗ってなかったエレベーターに乗り込んできた人影。それは私の部屋の真下の部屋に住んでいるホーキンスさんだった。

ホーキンスさんは何やら占いとかそういう系の類の話に詳しいみたいだ。一度部屋に上がらせてもらった事があったがそれはもう凄かった(色々と)。

「ナマエ。今日のお前の運勢は大吉だ」
「おぉ、大吉!」
「そして黄色いものが傍にあると運気が上がるらしい」
「黄色いものですか……分かりました!いつもありがとうございます!」
「気にするな」

チーン、と少し間の抜けた音が鳴るのと同時に開いた扉。マルコと私とホーキンスさんはエレベーターを降りた。

ホーキンスさんはそのまま行くのかと思ったが、何故かくるりと振り返ってマルコの肩を叩き、意味あり気に頷いてから去っていった。

……何だったんだろう。

「……」
「黄色いものだって、マルコ」
「…そうかい(あの野朗…)」
「黄色いものかー、何かあるかな」
「……」

きょろきょろと辺りを見回してみて黄色いものがないかどうか探してみる。…うーん、残念ながら何も見当たらない。目の前のパイナッ……マルコの頭を除いて。

「…(じー)」
「…何だよい」
「…マルコの髪って黄色、だよね」
「……」

マルコの髪をじっと見ていたら「見んじゃねぇ」と頭を掴まれて目を逸らされた。痛いんだけど!

「ね、マルコ。今日の仕事サボって私と遊びに行こうよ」
「嫌だよい」
「私の運気を上げると思って!」
「尚更嫌だよい」
「酷いな!」

今度は私の頭をべしっと叩いてから歩いていくマルコ。右手には車の鍵を持ってるからきっとあの嫌味ったらしい高級車にでも乗って仕事に行くのだろう。金持ちめ!

しぶしぶ私もバイトに行くために、チャリを取りに行こうとしたらマルコに呼び止められた。

「ナマエ」
「何よっ!」
「何処に行ってんだい」
「…は?バイトに行くんだからチャリを…」
「遊びに行くんだろい?」
「え、」

ほれ、私に車のドアを開けてくれるマルコ。……何かマルコに紳士っぽい事されたんだけど。…に、似合わないな。つーかさっきと言ってることが真逆なんだけどこのおっさん。

「やっぱ行かねぇぞ」
「やっぱり読心術!?」

そして、二人で遊びに行った遊園地で私はまたしても驚く羽目になるなんて私は想像もしてなかった。





ラッキーカラーはパイナップル色?


(は?)
(だから!お、俺と付き合えって言ってんだよい!)
(え)
(べ、別にお前が嫌なら…)
(嫌じゃない!)
(…え)
(わ、私だってマルコの事好きだったんだから!)
(は、)
(今更嫌いって言ったって遅いんだからね!)
(…!それはこっちの台詞だい馬鹿!)
(馬鹿言うなパイナップル!)
(うっせえ鈍感!)
(誰が鈍感よ!)
(お前以外に誰がいるんだよい!)

(…そろそろあのじれったい二人はくっ付いたのだろうか)


恋のキューピッド(?)ホーキンスさん。






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