リクエスト作品 | ナノ






「ねぇ、一体何があったのよナマエ!」
「私も詳しく教えてほしいわ、ナマエ」
「え、えぇー…」

ずいずい迫るナミとロビンに、ナマエは鬼気迫る何かを感じて後退りした。それを遠目に見てたエースやマルコは、助けに行こうにも背に般若を背負っている女性陣二人に怖気付いて近付けないでいる。

「だ、だからそんなことないって…」
「いいえ!そんなことあるわ!」
「えぇ、だって」

一度言葉を区切ってナマエの両腕をガシリと掴む般若。(を背負ったナミとロビン。)

「「こんなにすべすべなんですもの!」」




≡≡≡≡≡≡




――三十分前。

そこには、モビーディック号の食堂のド真ん中を占拠してナマエを間に挟んで質問攻めにするナミとロビンの姿があった。

「ねぇねぇ、そろそろ好きな人とかできたんじゃないの?」
「いや、別に」
「そんなことないでしょう?ここにいる人たちは皆魅力的だもの」
「そう言われても…なぁ」

家族だし、と呟くナマエに溜め息を吐くナミ。ロビンは苦笑して、アップルパイの食べかすを付けていたナマエの頬へ手を伸ばした。

「ほら、付いてるわよ」
「ん、ありがと」
「…あら?」
「?」
「どうしたの?」

ナマエの頬から離した手をもう一度近づけて頬に触れる。

ふにゅっ
「……、…」
ふにゅにゅっ
「あ、あの…ロビン…?」
ふにゅにゅーん
「うにゃ、ろ、びんっ」

触れたと思ったら揉み、揉んだと思ったら左右へ引っ張られる。それをしている最中、ずっと無表情なのだから怖い。ナマエの背中には一筋の冷や汗が流れた。

「ろび、」
「……ね、」
「んむ?」
「ロビン?」
「ほっぺた、凄くすべすべね…」
「あ、あの…ロビン?目が、目が怖い…」
ふにゅふにゅふにゅふにゅふにゅっ!
「みゃああああああ…!」

……まるでマシュマロのような手触りだったと、後にロビンは恍惚とした表情で語った。

そして、何故そこまですべすべふにゅふにゅになっているのかと尋ねていたら、あまりにも本気で迫ってくるナミとロビンに怯えたナマエが後退りで逃げるという奇妙な図が出来てしまった。ここで冒頭の会話に戻る。

「もっ、もう触るのも揉むのも引っ張るのも止めてくれ…!」
「あら、いいじゃない。女同士ですもの」
「そうよ、だから早くその肌触りの良すぎるお肌の理由も教えなさい!」
「(女怖い…!!)」

狼だ。まるで獲物をロックオンした狼のような目だ。追って追って追い回されて疲れたところをがぶりとやられて食われてしまう。そう本能から感じ取ったナマエは降参してその場に座り込む。その後を追ってナミとロビンもその場に腰を下ろす。

「さぁ、教えなさいよね!」
「ふふ…教えてちょうだい?」
「……あーもう、…分かったよ…」

げんなりとした表情で呟くナマエ。うふふという笑い声がステレオで聞こえる。気分は宛(さなが)ら首元に牙を突き立てられた兎。

「…最近、うちのナース達が入浴剤作りにハマっててな。育てたハーブを使って作った入浴剤が大量にあるからって俺に渡してくるんだよ」
「へぇ、ハーブの入浴剤なの」
「あぁ。香りも悪くないし、アロマ効果もあるとか言ってたから俺も気に入ってる」
「でもハーブって育てるの難しくない?」
「いや、俺も一回だけ育ててみたけど結構簡単なやつだったぞ?毎日水をやって日光を浴びせてやるだけだから、二人も簡単に育てられるだろう。なんだったらナース達に言って分けてもらうか?」
「え、いいの!?」
「あいつらが承諾したらな。まぁ、大丈夫だとは思うが…」

ついでに入浴剤の作り方も教わるといい。
そう言って立ち上がったナマエに、さっきまでの般若は何処へ消えたのかとてもいい笑顔のナミとロビンが続いた。

「そういや最近、ナマエもよく風呂に入ってるよない…」
「風呂上がりの香りも前よりいいし…ハーブの入浴剤かぁ」
「確かに、最近のナマエは触り心地良かったよなー」
「…エース」
「え、なに?何でマルコとサッチそんなに怒ってんの!?ちょ、待っ…!!」

ぎゃあああああ!というエースの悲鳴は、医務室を目指して歩いている女性陣には届かなかった。








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