リクエスト作品 | ナノ






とある日のモビーディック号の甲板にて。真っ青な海と真っ青な空、そして真っ青なクルー達という謎の組み合わせが出来ていた。クルー達の手にはそれぞれ釣竿が握られている。今にも倒れそうなクルー達の前に現れたのは、これまた少し顔色の悪いナマエ。ナマエの手にもやはり釣竿。

「只今より、『飢え死にしたくなきゃ運も魚もを釣り上げろ!!大会』を開催する!!」
『「「「おおーー!!」」」』

何故こんな事になったのかというと、それは約一週間前に遡る―――…。

「エースゥウウウウ……!」
「わ、悪いって…!!」

まるで般若のような形相のコック達が取り囲んでいるのは、今にも泣きそうな顔のエース。食堂の前に集まってるクルー達は何事かと扉から顔を覗かせた。コック長もといシオは、出刃包丁を振り下ろさんばかりにエースへと向ける。

「なぁおいエースくんよォ……、俺が昨日から食材が少ないってあれ程言ってたのにも関わらず盗み食いするとは何事かなァアアアア…!!??」
「ひぃいいいいいい…!!」ガタブル
「(シオの奴、目がイってる…)」
「(怖ぇええ…!)」
「(頑張れエース隊長…!!)」

クルー達が涙目のエースを見ながら拝むように合掌した。そしてそそくさとその場から離れる。とばっちりはごめんです。

「これから次の島まであと2週間かかんだぞ!?テメェ船の奴等全員飢え死にさせてぇのか!?あ゙ぁん!?」
「すいませんわざとじゃないんです腹が減ってたんです……!!」
「俺等だって腹ァ減ってんだよ!!」
「ぎゃああああ!!包丁振り回すなよ殺す気か!?」
「お前が俺等にやってる事と同じだ!!」

ごめんなさい!ごめんで済めば海軍はいらねぇんだよ!ぎゃあああ!いつもの食事の時よりも騒々しい食堂。そこに入れる勇者は一人しかいなかった。

「…一体何の騒ぎだ?」
「副船長!」
「ナマエ!」

助けが来た!と顔を輝かせるエース。だがしかし、あれあれこれこれそういうわけでとシオから説明を受けたナマエは無言でエースを見て……………覇気を纏った拳で殴った。

「………」ちーん
「本当に何も無いのか?」
「果物が少しと調味料はあるんだがな…。流石にあの筋肉達磨共が果物や食塩と水だけであと二週間ももつワケねぇよ」
「そうだな……」

仕方ない、とナマエは気絶したエースの足を掴んで乱暴に引き摺りながらオヤジの元へと向かった。オヤジへと状況を説明した後、甲板にクルーを集めてある命令を下した。

『ここいら一帯は暫く天候が悪いから、天候が落ち着くまでは釣りが出来ん。悪いが死なない程度に耐えられるとこまで耐えろ』

その一週間後、天候が落ち着くのと同時にクルー全員の限界が来た。

そこで冒頭に話は戻る。








× 

戻る



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -