「ンマー……」



腕、だった。水路から腕が生えていた。

だが、よくよく見てみると腕は水路に繋がっているように見える。腕自体は傷だらけだったが、切られた腕が放置されているワケではなさそうだ。



「……」



さて、どうしよう。
こんな傷だらけの腕を放置していたら住民達が困るだろう。だが、仮に自分が拾ったとしても、それを誰かに見られたらそれこそ困る。

暫く悩んでいたが、意を決して腕を引っ張ってみた。(その際、周りはちゃんと確認した)


――…ザバッ


「…!!?」



引き上げたのは腕だけだったのに、水路から出てきたのはこれまた腕と同じような傷だらけの男だった。




≡≡≡≡≡≡




「腕だけって……」


「それはエグいのう…」


「仕方ないだろ。力を使い過ぎて体が動かなかったんだから」


「ンマー、一体どんな殺人事件が起こったのかと思ったぞ」


「その腕を引き上げたアイスバーグの方が凄いと思うがな」


「「「同感だ/じゃ/ッポー」」」


「………」




≡≡≡≡≡≡




……さてさて困った。
傷だらけの男を背負い、俺はますます頭を悩ませた。

一応家に帰る道を歩いているが、このまま帰ってる途中で誰かに見られるというのだけは避けたい。

市長が傷だらけの男を連れていった……最悪の場合、死体を持ち帰ってたなどと噂が広まってしまうだろう。どんな事件だ。

……しかしこの男、軽いな。ちゃんと飯食ってんのか?


――…ガチャ

「……ふぅ」



家に着いて、とりあえず男の体の傷を拭いてやろうとして……驚いた。



「……なっ…!?」



…最初に見た傷が、ない。

俺が動揺している間に男は起きたみたいで、辺りを見回していた。



「……ここは…?」


「…俺の家だ」


「……お前、誰だ」


「ンマー、とりあえず落ち着け。俺はこの町の市長をしているアイスバーグだ。…お前は?」


「………キイチ」


「…"烏"か」


「……知ってんのか」


「有名だからな。賞金10億でALIVE ONLYっていう異例の賞金首ってのは……。お前、一体何したんだ?」


「………」



俺の言葉にキイチは黙った。そして、言葉を探すように視線をさ迷わせた後、首に巻いていた包帯を外した。



「……っ!!」



そこに在るのは、世界政府のマーク。



「……お前、」


「政府の人間じゃ、ない」


「じゃあ何で……」


「………詳しくは、言えない……言いたく、ない。それでも良いなら…」


「…構わない」


「…俺は……―――」



ポツリ、ポツリとキイチはゆっくり話し始めた。




≡≡≡≡≡≡




「「「…それで?」」」


「ここから先は三途の川を渡りたい者のみが聞けるが」


「死ねってか!!?」


「アイスバーグさんは聞いたんじゃろ?」


「ズルいッポー」


「アイスバーグは例外だ」


「ンマー、嬉しい事言ってくれるじゃねぇか」


「うっさい、最初俺の事男だと思ってたくせに。ちょ、頭撫でるな」


「違う場所なら撫でていいのか?」


「真顔で聞くなカク」


「よし、それなら俺がホテルに連れてって手取り足取り腰取「ん?何か言ったかルッチ?」……何でもないッポー」


「……いつの間にか仲良くなってんなお前ら……」



そこには話に入れず、寂しそうなパウリーがいましたとさ。







あれ、
シリアスな話じゃなかったっけ?



(キイチー)
(この腰に巻き付いてる腕は何だカク)
(キイチ、俺とホテルに…)
(行かん。手を離せルッチ)
(ンマー、そろそろ離してやれお前ら)

(おーい……)←パウリー






*・*・*・*・*

あれー?
カクとルッチが本編と大分キャラが違う気が……

……ま、いっか


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