今日も良い天気の中、モビー・ディック号は海を進んでいる。キイチは見張り台で周りの様子を見ていた。



「今のところ特になし…と」



何も起こらず、ただ平和な海にキイチは安心半分と退屈半分でいる。敵が来たら来たでまた面倒だと思うのだろうが、何もせずにぼんやりとしている方がキイチにとって苦痛なのかもしれない。



「うーん、暇だ……………ん?」



望遠鏡を覗いていたキイチは遠くに海賊船が見えたが、それを確認したキイチは嫌そうに顔を歪めた。それはもう、かなり嫌そうに。



「うげ…あの海賊船って……」



その頃、キイチが見た海賊船の中では――…



「ベン!あれって白ひげじゃねぇか?」


「ああ、そうだな…」


「よっしゃー!キイチに会えるー!!」


「お頭…キイチに会いたいからって何回も行くと白ひげも迷惑……」


「キイチー!!待ってろー!!」


「駄目だ、聞こえちゃいねぇよ」


「あんなのがうちのお頭なのか………」


「ヤソップ、そう言ってやるな…」


「ベンも大変だな……」


「…胃がいてぇ」




≡≡≡≡≡≡




「オヤジィー…」


「グララララ、どうしたキイチ。んな嫌そうな顔しやがって」


「…アイツが来る。一直線にこっちに向かって来てやがるんだよ…」


「アイツって誰だ?」


「んー…エースより鬱陶しい奴?」


「それって俺も鬱陶しいって事!?」


「(何を今更…)」



キイチとエースがそんな話をしてたら後ろからマルコが来た。途中から話は聞いていたようで、何が来たのかと質問してくる。それに対し、キイチは嫌々口を開いた。



「…赤髪……」


「…ああ、成程」



忌々しげに吐き出されたその名前に、マルコにも苦笑いが浮かぶ。視線がモビーの進路先へ移動し、肉眼でもはっきり見えるほどに近付いてきた海賊船を捕える。その甲板に立ち、こちらへ大きく手を振る姿も。



「キイチー!!」


「ああああ……来た………」












prev next

(1/2)

back
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -