「…どっちが先に俺と組手をするか?」


「あぁ!!」


「……はぁ、そんな事で喧嘩してたのか…」


「そんな事なんかじゃねえ!!」


「そうだよい!!」


「お、おぅ…そうか……」



二人の顔は鬼気迫る何かがある。その勢いに押され、キイチは一歩後退した。正直真剣過ぎて怖い。たかが組手、されど組手らしい。知らんわ。



「エースはさっきキイチに書類の事で手伝ってもらってるんだから後でいいだろい!!」


「そんなの関係ねェだろ!!それに昨日もマルコからだったろうが!!」


「関係あるよい!!しかも昨日はババ抜きで俺が勝ったからだろい!!」


「一昨日だってマルコからだったろ!?」


「それはポーカーで俺が勝ったろい!!」


「その前だって!!」


「それは大富豪で!!」


「先週も!!」


「そりゃ七並べで!!」


どんだけトランプやってんだお前ら。てかエース弱すぎる。そのままぎゃあぎゃあ騒ぎ出すもんだから、クルー達も呆れて自分たちの持ち場へと戻っていった。キイチはと言えばエースとマルコに挟まれた状態。



「……はぁ、とりあえずお前ら落ち着け」


「「だってこいつが!!」」


「二人共一緒に海に沈めほしいのか?」


「「すいません」」



最初っからそうしときゃいいんだよ。そう言ったキイチの目は絶対零度の光を放っていた。思わず姿勢を正した二人は冷や汗を流す。マジで殺る目だった…!



「じゃ、今日の組手は先にマルコからだ」


「えー!!!」


「『えー』じゃない。お前は先に書類の指導したから後でいいだろ。しかも朝は全然起きないし我が儘言うし」


「うぐっ……」


「当たり前だよい」


「だがマルコもそんな話で喧嘩するな。クルー達が困ってただろうが」


「う……」


「やーいやーい!!」



子供か、エース。



「…エース」


「何だよ、バナナ隊長」


「うっせぇそばかす!!」


「そばかす舐めんなよ!!」



そばかすを舐めるも何もないと思うが。そう突っ込みそうになったキイチだが、再び騒ぎ出した二人に口を閉じた。



「………」



言い合う声は止まず、その間もキイチを挟んで怒鳴り散らすエースとマルコ。その頭一つ、もしくは一つ半程低い位置にあるキイチの表情は窺えない。



ゴンッ


「「〜〜ッッ!?」」


「うるせェお前ら!!それ以上騒ぐようなら組手は無しだ!!」


「「す…すいませんでした……」」




≡≡≡≡≡≡




マルコとエースの組手を終わらせた後もキイチは何度もクルー達に助けを求められ続け、それら全部を終わらせて自室に戻る頃には太陽が傾き始めていた。だが、キイチの部屋の机にはまだ未処理の書類の山。



「………ふぅ」



溜め息を吐いた後、キイチは書類の束を一つ手に取った。




≡≡≡≡≡≡




―コンコン


「キイチーそろそろ飯だぞー」



夕食の時間になって、サッチがキイチを呼びに来た。しかし、部屋の中から返事はない。疑問に思ったサッチがもう一度扉をノックする。やはり返事がない。



「…キイチ?入るぞー?…………………あ」


「スー…スー…」



そこには書類の中に頭を突っ込んで寝る副船長の姿。それを見たサッチは苦笑いをした。



「今日も朝から忙しそうだったもんな…」


「…ん、……」



ゆっくりとキイチの頭を撫でるが、キイチが起きる気配はない。それほどまでに疲れていたのだろうか。明日のおやつはアップルパイにしてやるか、と小さく呟いた。



「お疲れさん、キイチ」



キイチに毛布をかけてやり、額にキスをしたサッチは静かに部屋を出て行った。







副船長の一日


(あれ?キイチは?)
(どっかの誰かさん達のせいで疲れてんだよ)
((うぐっ))
(ま、休ませてやろうぜ)

(額にキスした事は秘密)






*・*・*・*・*

何故に改行が多いんですかね、昔の俺は。改行しすぎィ!
そしてそれもまちまち過ぎて修正しづらいという。

∴13/10/14 修羅@


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