あ、デレやがった





最近暖かくなってきて電車やら自転車やら徒歩やら、まぁ全てにおいて動くと少し暑くなる季節になった。
ぼくは徒歩で来ている。だって近いし。

因みに、どうでもいい情報かもしれないけど零崎は自転車通学だ。
そして、謀ってるのか偶然なのか分からないがよく零崎と学園の校門でよく会うのだ。



今日みたいに。




「あ」


「あ。よういーたん」


「おはよ。」




それでいつものようにそのまま靴箱まで行き、階段を登り教室に入る。といったことをする。

とるにたらない日常の極々一部である。




「なー、いーたん」


「なんだよ」


「ジュース買いに行くの付き合ってくんね?」


「あー…。いいよ。」


「なんだったんだ今の間は」


「気にするな」




そうだそうだ気にするな。禿げるぞ。そしてその刺青剥げろ。
ぼくはただ連れションのノリで言うんだなぁって思っただけだし。

そうしてぼくらはHRまでまだまだ余裕があるのでゆったりとした歩みで階段を下りていった。
説明不足な気がするから今ここで言っておくけども、ぼくらの教室が2階に自販機が1階いの隅にあるわけなんだ。




「あ、でもさ。ここの自販機って朝と授業中は準備中になってなかったっけ?」


「……着いた瞬間そういうのやめれ」


「サーセン」




零崎が財布からお金を出そうとした手が止まった。
四台ある自販機のボタンには準備中。と並んでいた。




「あ、待てよ?この自販機だけ動いてる!」


「お。本当だ」


「ラッキー」


「ヨカッタネー」


「心にもないことを心ここにあらずみたいに言うとろくな事ねぇぞ」


「へぇ。たとえば?」


「これは俺の体験談だが。パンチラは正義っていつも言ってる変態兄貴に『そうだな』って心にもないこといったら三日三晩ノンストップでパンチラについて語られた」


「……………ごめん」


「そしてそれを見ていた大将に本気で同情された」


「なんかごめんなさい」




これからは心にもない言葉を心にもないような声でいうのやめよう。
ぼくの周りにパンチラについて語るような人は今のところいないけどきっとそうなるんだろうな。




「ま、まぁ教室戻ろう」


「そだな」


「あ、自販機が…」


「あん?」


「ほら見てみなよ。さっき零崎がジュースを買った自販機」




零崎がジュースを買った自販機はボタンを押す所が全て『準備中』になっていた。
学校側の手違いか業者の手違いか自動販売機の手違いかはわからないけども。




「おー。俺ラッキーじゃん」


「みたいだね」


「なんかさぁ。これって『あ、まだ売っちゃ駄目だった!やっべドジっちゃったよー。』みてぇだな」


「じゃぁ直ぐに準備中になったのは売った後に気付いて『内緒にしてね。テヘペロ☆』みたいな?」


「可愛いな自販機。つか俺は今初めてお前がテヘペロって言ったの聞いたぞ。お前も言うんだな」


「可愛いな自販機。いや、ぼくは言わないよ。自販機が言ったんだよ。それに何か流行みたいだからね。」


「そうなのか。」


「そうなんだよ」


「可愛かったな自販機」


「そうだね、とうとう自販機に萌える時代が来たんだね」


「擬人化してないけどな」




なんて会話をしながらぼくらは教室にもどって言ったのだった。
たまにあるこういう事。きっととるにたらない日常なんだけども、まぁ、悪くないんじゃないかな?






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