零僕


世の中には。聞いて欲しくないことがある。

というか、世界のほとんどがそうである気がしてならない。
バレバレの演技でも気になって仕方ないことでも、空気を読んで口を慎んでもらいたい。






そう

今みたいに





「いーたん」


「……………」




只今、零崎に迫られてる最中です。
勿論嘘だよ。半分くらいはね
ぶっちゃけるとちょっとしたことで零崎が正面に居て多分壁に追い詰められてる感じです。はい。




「いーたんいーたん」


「…………………」


「おい、戯言遣い」


「そんな僕は黙秘権を試行する」


「つまんねー戯言ぬかす前に言うことあんだろ」


「なんのことかな?
さっぱりきっぱりざっくりばっくりぼっくりきっかりちゃっかりがっちりかっちりばっちりさっくりまったりゆったりと何が何だか検討もつかないね」


「俺的にはお前が何を言ってるのかが検討つかねーけどな」




………………っち。
折角ぼくが話をそらそうとしてるのに、そんなにぼくと話したいか!!そんなにぼくが好きか!!そんなに自分が好きか!!ナルシストめ




「そーゆーわけで、さっさとさっき言った台詞をもう一回言ってみろよ」


「だが断る」


「言うと思ったぞチクショウめ。いいからさっさと言えよ。全然話が前に進まねーじゃねーか。
あんまりウダウダいってっと、このまま押し倒して全年齢対象の小説じゃなくてR18の小説の内容なことするぞゴラァ」




だなんて事、零崎はぼくを押し倒しながら言った。
はい。現在進行形で押し倒されてまーす。
普通ならここは銃取り出すなりナイフ出すなりして抵抗する所なんだろうけど、まぁ、相手は零崎だしなぁ。意味無いだろうし。こいつ変人でいろんな意味で奇天烈だがヘタレだし。

うん。問題ない。




「零崎がぼくにR18だって?ふん、笑わせるね。出来もしないことを口にすると自分の価値を下げるんだよ」


「いーや。これが笑えねーんだよな。
やってみないと分からないことだって世界にはたくさんあるんだぜ?一秒後には純粋で純情だった少年が狼になってるかもしれねーだろ?」




零崎はいつもと同じようにかははと笑い。
ぼくはいつもと同じように笑わなかった。






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